IV - 007 鈍感なエゴイストにはなるな ページ29
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「赫灼……赫灼……」
「く、く、くノ一！」
「ち。知己」
「き……ん？」
Aが振り返ると楽しそうに笑顔を浮かべた義勇と錆兎が立っていた。今は夕暮れ時だから二人の小さな体が大きく真っ黒な影に伸ばされている。
いつの間にしりとりが始まっていたのか、とAは思わず苦笑いをした。それでも二人が楽しそうならいいかと何もかもを寛容に受け入れるのが彼女という人間だ。義勇の頭を撫でて、錆兎の頭を撫でてから「どうした二人とも、今日は早めの終了だったのか？」と聞いた。
いつもならもう少し暗くなるまで鍛錬を続けていたので気になった。
「うん。鱗滝さんがね、今日は早めに休めって」
「冬に入って冷え込むし日が落ちるのも早くなってきたからな。きっと心配してくれてるんだと思う」
「嗚呼、そう言えば肌寒いな」
ハッとして腕をさする。そんなAを見てさも当然のように真っ白な羽織をかけてやったのは錆兎だった。
「使え、風邪を引く」
義勇は幸せそうに目を細めてお礼を言うAを見てから遅れてハッ！ とした。しまった。と唇を噛む。
錆兎より先に羽織を渡したかった。と深い後悔に倒れ込んだ。ぐぬぬ、と二人に気づかれないよう背中を向けてハンケチを噛むようにして空気を噛んだ。
「優しいな。錆兎。大きくなったら必ずいい人に巡り会えるよ。私ごときで心許ないかもしれないが太鼓判を押させてもらう。ほら」
錆兎の手を取ってぽん、と丸めた拳の側面を当てる。
Aからすれば全く悪意も何も無いのだろうが錆兎にとってはそれがちょっぴり辛かった。
義勇も勿論彼の気持ちを知っているので苦そうな顔で「太鼓判ありがとう」と微笑む錆兎の横顔を見つめていた。この通りAは非常に手強いのである。
「Aは俺達を男と思っていない」
───夜。恒例のおまじないも終わりAが完全に眠りについたことを確認した錆兎、義勇は眠ったふりを解いて顔を寄せ合い、会議を開いていた。
錆兎の声があまりにもどんより沈んでいたので義勇は恋敵とはいえ励ましたくなった。と言うか大丈夫だよ、と励ました。
「Aはその、あんまり男の子を男の子として見ないって言うか……そもそも自分のこと女の子だって意識してないって言うか………難しいんだけどね」
「それはつまり……、Aにとっては性別という概念が無意味だってことか？」
「うん、多分。A俺の前で水浴びしようとした事あるし……」
「嘘だろ」
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ミルクリ - 初めまして。とても面白かったです。続きが読みたいのですが�兇離僖好錙璽匹魘気┐討い燭世韻泙擦鵑�？これからも応援しております。 (2021年9月21日 12時) (
レス) id: 9baecbdda2 (このIDを非表示/違反報告)
コア - 面白かったです �兇離僖好錙璽俵気┐督困韻襪藩�難いです (2021年6月29日 20時) (レス) id: cdf587c2d2 (このIDを非表示/違反報告)
莉亜(プロフ) - すごく面白くて一気に読んでしまいました！！！続きのパスワードって教えてもらえますかね？これからも頑張ってください (2021年5月14日 22時) (レス) id: 6a10e782a2 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おもしろくてとまらなくなりました！守護聖人IIのパスワード教えていただきたいです！ (2020年12月15日 20時) (レス) id: 833cf0aedc (このIDを非表示/違反報告)
糸針シナ(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！ひえ〜嬉し過ぎます…！そんな風に言っていただけて後衛の極みです〜！長編が好きなものでこの守護聖人も他作品もすごく長いですが楽しんで頂けたらと思います！短編もあるので宜しければ覗いて行って下さい〜 (2020年3月11日 8時) (レス) id: 2d5e82106c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：糸針
| 作成日時：2019年10月25日 13時
