７０◆風のゆくえ ページ10
「うん…うん、分かった。
じゃあそうしてくれる？」
麗ちゃんには、
Aは無事だけど少しケガをしてたこと、
そのせいもあってまだ本調子ではないから、
落ち着いたら向こうから連絡がくるはず…
伝えるにしてもそういうことにすると相葉くんは言った。
「うん、うん…いや、こっちこそ遅くにごめんな。
…うん、おやすみ」
電話を切ってため息をついた。
結構長く話し込んでたな。
(もうこんな時間か…)
月明りに腕時計を確認し、
のろのろと立ち上がって何となく窓を開けた。
「…」
吹き込む風は東京のにおいがしていて、
エジプトの乾いた夜風とはまるで違う。
それでも風としてはどこかで繋がっていると思うと不思議な気がした。
(どこにいんのかな、あいつは…)
ふと慶太のことを思い出した。
死んだら自分は風になると言っていた慶太。
いかにもあいつらしいし、
実際風になってるって俺も信じてる。
「なら…どっかで会ったりしてんのかもな、案外…」
ぼんやりと呟いた瞬間、
まるで応えるように風が強く吹き込んだ。
(慶太…)
お前に会いてぇな。
今回の一連のことも、
お前に話聞いてもらってすげぇな大失恋じゃんって笑われて、
酒でもガンガン飲んで２人でつぶれて美雪に怒られて…
「…っ」
目の前がゆらゆらと滲みだした。
あっという間に流れた涙に頬が冷たい。
「慶太…」
涙は我慢するなって、
お前は柊に教えたんだったよな。
我慢すると体の中で毒になるからって。
「教えてくれよ慶太…っ」
なら、泣けば楽になるのかよ。
どこにもやり場のないこの思い―――
その方がよっぽど俺にとっては毒みたいで、
１秒ごとに身体を
「教えてくれよ…」
慶太も、Aも。
心から大切に思っていたのに。
「なぁ、なんで…」
なんでみんな、俺の前からいなくなるんだよ―――
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
薫子(プロフ) - ゆきままさん» ２に続き３にもコメントいただきありがとうございます(^^) スノードームはずっと活躍させたかったアイテムなのでやっと使えて私も嬉しいです。最終章を先ほどアップしましたのでまたお楽しみいただけたら幸いです！良かったらまたご感想などお寄せ下さいませ(^^) (2020年1月12日 9時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまま - はじめまして、いつも楽しみにしております。スノードーム！ベストアイテムですね、さすがです。路地裏も最強ですね。次回も楽しみにしております。 (2020年1月12日 4時) (レス) id: 6749c8d29b (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» こんばんは(^^) そうなんです☆翔ちゃんのコレクションを見たのが18話、その後46話で証言が出ていた『買いたいものもあるし』の対象もスノードームでした。やっとこさ伏線回収できてホッとしてます(笑) 続きもよろしくお願いします！ (2020年1月11日 20時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様！もうすぐｺｺも佳境ですね。記憶のｷｰﾊﾟｰｿﾝがｽﾉｰﾄﾞｰﾑってのに流石だなぁと感心です!!!!!さて物語流れますね。続きも楽しみです！変なﾀｲﾐﾝｸﾞでｺﾒ入れちゃいました(^^; (2020年1月11日 16時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：薫子
| 作成日時：2019年12月6日 8時
