６９◆虚しい帰国 ページ9
市街地の取材を交えた中継も無事に終え、
俺らは予定通り帰国した。
『Aは無事だったから安心して』
仕事の合間に相葉くんにはそうメールしたけど、
何があったのかはメールなんかじゃとても説明できなくて、
『とりあえず麗ちゃんに無事だったって伝えてくれる？
詳しくは帰ったら説明するから』
迷った挙句それだけ送った。
「っはー…」
帰宅し玄関に荷物を放りなげ、
電気もつけないままソファーに倒れ込んだ。
強行スケジュールだったせいもあって今ごろ疲れがひどい。
リビングの暗い天井をしばらくぼんやりと眺め、
のろのろとスマホに手を伸ばした。
「…あ、もしもし相葉くん？
ごめんこんな時間に」
『ううん、もう家だし大丈夫』
「そっか…あ、つうかそこに麗ちゃんいる？」
『さっきもう寝るって部屋行っちゃったけど…
あ、話す？ 呼んで来よっか？』
「いや、いいよ」
俺の言い方が強かったのか、
相葉くんは少し黙り、小さく聞いた。
『あのさ翔ちゃん…何があったの？』
「ん？ なんで」
『だって…なんか様子が変だったから』
相葉くんは昨日のニュースも見てくれたらしい。
でも現地から中継していた俺を見て違和感があったという。
『あっあの、別に仕事が上の空とかそういうんじゃなくて』
「はは、そりゃよかった」
『よくないよ。だって翔ちゃんの目…』
「え？」
『すごく悲しそうだった…
香椎さんは無事だったはずなのに』
「…」
『だから絶対変だって…俺そう思ってさ…』
相葉くんは鋭い。
普段はニコニコ人当たりがいいようでいて、
色んなことをすごく注意深く見てるし、
(だよな…)
ましてやこれだけ付き合いが長いと、
やっぱりつける嘘もつけないな。
「…いや、無事だったのは本当だよ。
少しケガはしてたけど、
ちゃんと会って話せたしさ」
暗い天井にAの笑顔を思い浮かべた。
この顔も、いつかはぼんやりと曖昧になる日が来るのだろうか。
「でも…俺のことは知らないって」
相葉くんが絶句する。
そりゃそうだよな。
「え…それ、どういうこと…？」
「覚えてなかったんだよ、俺のことはなにも。
爆発で頭を打ったショックらしいけど」
「そんな…」
「面と向かってどちら様？ ってさ…
あれマジきっちぃわ、
何のジョークかと思ったもん」
はは、と思わず笑った俺に、
相葉くんは黙ったままだった。
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薫子(プロフ) - ゆきままさん» ２に続き３にもコメントいただきありがとうございます(^^) スノードームはずっと活躍させたかったアイテムなのでやっと使えて私も嬉しいです。最終章を先ほどアップしましたのでまたお楽しみいただけたら幸いです！良かったらまたご感想などお寄せ下さいませ(^^) (2020年1月12日 9時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまま - はじめまして、いつも楽しみにしております。スノードーム！ベストアイテムですね、さすがです。路地裏も最強ですね。次回も楽しみにしております。 (2020年1月12日 4時) (レス) id: 6749c8d29b (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» こんばんは(^^) そうなんです☆翔ちゃんのコレクションを見たのが18話、その後46話で証言が出ていた『買いたいものもあるし』の対象もスノードームでした。やっとこさ伏線回収できてホッとしてます(笑) 続きもよろしくお願いします！ (2020年1月11日 20時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様！もうすぐｺｺも佳境ですね。記憶のｷｰﾊﾟｰｿﾝがｽﾉｰﾄﾞｰﾑってのに流石だなぁと感心です!!!!!さて物語流れますね。続きも楽しみです！変なﾀｲﾐﾝｸﾞでｺﾒ入れちゃいました(^^; (2020年1月11日 16時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2019年12月6日 8時
