８６◆風に乗る声 ページ26
「うっわ…マジすげぇな」
年末年始のアメ横かよ！
と言いたくなるような人込みだった。
日本と違うのは目が痛くなるぐらい色彩が豊かなことと、
「これ、崩れないんですかね…」
そしてマネージャーが横でドン引きしてるように、
店頭にこれでもかとうず高く商品が積まれていることだ。
(すげぇなぁ…)
金銀銅の金属細工に食器。
ざっくりと宝石を並べている店があるかと思えば、
精巧な
圧倒されながらとりあえず人波に沿って歩き出した。
「え、どうします？」
「どうって？」
「これ見きれませんよ絶対」
「確かに」
こんなところでガイドブックを開こうもんならいいカモだ。
事前に該当ページを読み込んできたけど、
「んー、そうだなぁ…」
観光名所にもなっているこの巨大な市場は、
縦横無尽に細い道でつながっていてまるで迷路のようになっている。
買うものをざっくりでも決めてから回った方がいいのかもしれない。
「ワンダラーワンダラー」
お経のようにあちこちから声がかかる。
１ドルなのは掛け声だけで、
店に近づくとすぐに何倍にも吹っ掛けられるらしい。
相手にしないよう歩いていたけど、
「ポケモンポケモン」
「カカクハカイー」
俺らが日本人だと分かっているのか、
東洋人としてくくっているだけなのかは分からないが、
とにかく適当な呼び声が地味におかしくて仕方ない。
「ダメだよ笑っちゃ。
日本人てバレるとめんどいらしいよ」
「櫻井さんだって笑っちゃってるじゃないですか」
メンバーへの土産とひと口に言っても、
壊れにくく美しくてエジプトらしいもの…
こうも雑多な中で、考えだすと意外と難しい。
「えーマジどうすっかなぁ…」
呟いた瞬間、
通りをサッと風が抜けていった。
――翔…！
Aに呼ばれた気がしてハッと立ち止まった。
耳を澄ませて人込みの向こうを見つめる。
(…まさかな)
こんなところで幻聴が聞こえるなんて、
俺もまだまだ、未練たらしいにも程があんな…
「どうかしました？」
マネージャーが怪訝そうに振り返った。
「…いや、別に」
つきかけたため息をぐっと飲み込み、
俺は頭をひとつ振ってまた歩き出した。
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薫子(プロフ) - ゆきままさん» ２に続き３にもコメントいただきありがとうございます(^^) スノードームはずっと活躍させたかったアイテムなのでやっと使えて私も嬉しいです。最終章を先ほどアップしましたのでまたお楽しみいただけたら幸いです！良かったらまたご感想などお寄せ下さいませ(^^) (2020年1月12日 9時) (
レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきまま - はじめまして、いつも楽しみにしております。スノードーム！ベストアイテムですね、さすがです。路地裏も最強ですね。次回も楽しみにしております。 (2020年1月12日 4時) (レス) id: 6749c8d29b (このIDを非表示/違反報告)
薫子(プロフ) - さやさん» こんばんは(^^) そうなんです☆翔ちゃんのコレクションを見たのが18話、その後46話で証言が出ていた『買いたいものもあるし』の対象もスノードームでした。やっとこさ伏線回収できてホッとしてます(笑) 続きもよろしくお願いします！ (2020年1月11日 20時) (レス) id: aa5d845008 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 薫子様！もうすぐｺｺも佳境ですね。記憶のｷｰﾊﾟｰｿﾝがｽﾉｰﾄﾞｰﾑってのに流石だなぁと感心です!!!!!さて物語流れますね。続きも楽しみです！変なﾀｲﾐﾝｸﾞでｺﾒ入れちゃいました(^^; (2020年1月11日 16時) (レス) id: 4ca326b9cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：薫子
| 作成日時：2019年12月6日 8時
