敬語系実況者【最終兵器俺達】

12.少し苦手な自分の事 ページ31

・ヒラ




【高校時代】



高校生の頃から自分の声が苦手だった。同い年に比べて、高い事もありクラスメイトからいじられる事もあったからかもしれない。




「ヒラさん元気ないですね、どうかしました？」




ﾋﾗ「あっ、A……いやさぁ、俺って声高い方じゃん？ 何かそれでいじられたりするの嫌だなって。実際自分でもあんまりこの声好きじゃないんだけどね」





下手したらAよりも声は高い。それが嫌で、嫌で仕方が無かった。Aはカウンター越しに、話を聞いてくれていた。





ﾋﾗ「みんながみんな言う訳じゃないんだよ？ でも、やっぱり気になっていじってくる人もいるから、何かやだなーって」





時折相槌を打ちつつ、考え込む様にしてから口を開くA。





「私もよく言われるんですよ、女の癖に声が男みたいとか、目を瞑ったら完璧男とか、顔も中性的なら声まで中性的かよって」





話を聞くとAは、中性的な見た目なのでよく中学生の頃から言われていたらしい。毎日同じ事を言われ続けて、マスクをする事が多くなったという。





「ある時ふと思ったんです、わかってもらえる人にわかってもらえれば良いかなって。それを思った次の日、いつも通り言ってきた男子生徒に言ったんですよね」




『君の価値観の中で私は生きてる訳じゃないって』





その言葉を聞いた時、ズシッと心に響くものがあった。




「価値観って人それぞれじゃないですか。私はヒラさんの声、素敵だと思います。優しくて包み込んでくれるような声色なので、安心出来る声だと思うんですよね」



ﾋﾗ「そこまで言われると逆に恥ずかしくなってくる(笑)」



「ヒラさんの良さをわかってくれる人、きっとこれからたくさん出会えると思います。たった数人の意見にヒラさんが悩む必要は無いですよ」



ﾋﾗ「ありがとう、少し自信がついた」



「いえいえ、あっ見て下さい雪降ってきてますね」



Aの目線の先には、白く街を染める雪が降ってきていた。




・




【現代】





「見て下さいヒラさん、雪降ってきてますよ！」





窓の外を見て雪が降ってる事を確認して喜ぶA。まさか、10年以上も一緒に居るなんてあの頃考えてなかったなぁ。





ﾋﾗ「わぁ、ホントだ」



「寒くなりますね」



ﾋﾗ「確かに寒くなるね、もっと寒くなる為にホラー実況する？」



「えっ、やりたいです」




突然の提案に乗ってくれたので、ホラーゲームをやる事に。

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