運命のヒト【Yoshino Hokuto】2

81 ページ31

｢ごめん、急に泣いちゃって…｣


北｢いや、大丈夫だよ
俺の方こそ勝手に避けて本当にごめん｣


ソファに座って膝に頭がつきそうなくらい頭を下げて謝られた


｢そ、そんな、謝らないで


涼太さんから詳しくは教えてくれないし自分で聞けって言われたから、聞きたいことあるんだけど聞いてもいい？｣


北｢うん｣


｢北人くんはなんで、私を避けだしたの？｣


北｢それは



Aを守りたいから。｣


｢え？それどういうこと？｣


北｢俺、Aが入院した日お父さんが来たから帰ったじゃん？あれ本当は帰らなくて、お父さんに挨拶しようと思って待ってて、それで話したの｣


｢え、お父さんと？
そんなことお父さんから聞いてない｣


北｢まぁ言わないだろうな、あんなこと｣


｢あんなことって？｣


北｢お父さんから聞いたよ、Aのお母さんの話｣


｢え、そうなの？｣


北｢うん、お父さんは自分と同じ職業のやつとはAを渡せないって言ってた
お母さんと同じ気持ちにはさせたくないって、だから別れてくれって言われた｣


｢嘘、でしょ…だから北人くんは｣


北｢いや、違う
俺は別れを選んだわけじゃない｣


｢え？｣


北｢俺はAのお父さんに認めてもらえるように警察官として一人前になったらAを迎えに行くってお父さんに宣言したんだ、だからそれまでは距離を置こうと思って避けてた、ごめん｣


｢そう、だったん、だ…｣



なんで、なんでお父さんそんなこと

幸せになって欲しいとは言われたけど、別れてくれまで言ったなんて




北｢だから俺が一人前になるまで待っててほしい｣


｢嫌だ、そんな私を思って言ってくれてるのは分かってるけど、今の北人くんに不幸にされてるとは私全然思ってないよ！意味わからない！｣


北｢え、｣


｢私、北人くんから避けられる方が不幸だよ！！｣


北｢ダメなんだ、俺といたら
A死んでしまう｣


｢死なないよ！！そんな私もろくないよ｣


北｢でもあの時俺がいながらも刺された｣


｢それは私が悪いの｣


北｢いや、警察は市民を守るのが仕事だから
守れない俺はAを幸せにするのはまだ早い｣


｢なんで分かんないの？本人が幸せって言ってるなら幸せなの！！もうやだ、何でこんなこと言いに来た訳じゃないのに、｣


さっき止んだ涙がまたとめどなく流れてくる


北｢ちょっと落ち着いて｣


｢落ち着いてなんていられない、もういいよ別れよ｣



.


.


.

82→←80

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す