小指**土方十四郎 ページ5
「A。悪ぃ。仕事がひとつ片付いてな。」
「ずっと待っていんした。」
そっと抱きしめる。ああ、此処に彼は存在するのだ。なんて嬉しいことか。
が、いつもは返してくれるはずの彼の腕は私の背に来ることは無かった。
そっと肩を押され、距離を置かれる。
「俺は、Aが好きだ。だが、見合いすることになった。」
私が禿時代に仕えていた姉様は今はもう居ない。亡くなった。
自 殺したのを私は知っている。小さな小刀で首の動脈を切り裂いて死んでいた。畳と布団があれ程真っ赤に染まり、あれほど美しい遺体はこの世にはないと思う。
姉様は叶わぬ恋に悲しみ自らの命をたった。
屍となった姉様はとても美しくて、とても儚くて、あまりのその姿に悲しみではない意味で涙が流れたのを覚えている。
「そうでありんしたか。」
「受け入れるつもりでいる。これは上からの命令だ。」
「そうでありんしたか。」
「だからもう、これねェ。これで最後だ。」
何故、私は.......違う。私たちはこんな思いをしなければならないのだろうか。
自ら進んでこの地獄へ来た訳では無い。借金を返すため、生活を楽にするため、邪魔だったから、いろんな理由があって私達は売り飛ばされた。肉親に。
この地獄の中でも小さな幸せはあれど、心からの幸せなどなかった。
私たち遊女は何故これほどまで悲しい思いをしなければならないのだろうか。
「.......そ、そうでありんしたか。」
悲しい。
土方さんにもう会えないのは悲しい。
私はまだ20になったばかりだ。生きてたなかでこれほどまで悲しいことは無かった。肉親に売られた時、やはりな。と思っただけで。
泣き叫びたい。
土方さんと生涯を共にするかもしれないお嬢様が羨ましい。憎い。
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あばば - 憧れのサディストさん» わかりました!ゆっくりでいいので頑張ってください! (2019年4月15日 1時) (携帯から) (レス) id: 45edbcdfad (このIDを非表示/違反報告)
憧れのサディスト(プロフ) - あばばさん» 沖神は書いたことがないのでもしかしたらご期待通りのものにならないかもしれませんが1度下書きしてみますね!少しの間、お待ちください (2019年4月13日 23時) (レス) id: a72c52539b (このIDを非表示/違反報告)
あばば - 憧れのサディストさん» 返信ありがとうございます!はい!沖田と神楽の話(カップリング)です!(沖田と神楽のいちゃいちゃみたいなw)リクエストの内容は神楽が沖田の目の前で敵に怪我をさせられてしまいそれに対し沖田がキレて…みたいな話を書いて欲しいです!いけますかね? (2019年4月11日 0時) (携帯から) (レス) id: 45edbcdfad (このIDを非表示/違反報告)
憧れのサディスト(プロフ) - あばばさん» コメントして頂き、ありがとうございます!文才など生憎持ち合わせていないとは思いますがそう言っていただけるだけでとても嬉しいです。リクエストはもちろん、OKです!ちなみにそれは沖田くんと神楽のでよろしいでしょうか? (2019年4月10日 21時) (レス) id: a72c52539b (このIDを非表示/違反報告)
あばば - とても文才があって羨ましいなと思います。その…リクエスト受け付けてますか?受け付けてるなら夢主さんが出てこない沖×神のCP系の話をかいて欲しいんですが…(詳しくは作者様の返信が来たら話します) (2019年4月8日 2時) (携帯から) (レス) id: 45edbcdfad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:憧れのサディスト | 作成日時:2019年4月6日 20時