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練習終わりのぐったりした2人に労いの気持ちを込めて「バミチキ奢ってあげる」といえば、2人は飛び跳ねる勢いで帰り支度をして、壮大の自転車の荷台に乗せられてあっという間に行きつけのバミリーマートにたどり着いた。
「あれ、めずらし」
この時間いつもレジ応対してくれるのは、我が校水泳部OBの翔太先輩なのだけど、今日は学校でもよく見知った顔が暇そうにレジに立っていて。
「おぉ!黒田ちゃん」
「コアってそういえばここでバイトしてるんだっけ」
「そそっ!平日入るのあんまないけどね〜」
「ふーん。あ、この子たち部活の後輩」
「こんにちはー!」
決して強面ではないけれど、明るい髪をおでこ全開でセットしていて、ジャラジャラピアスをつけているコアはギャルそのもので。
コミュニケーションお化け壮大が「こんちはーっす!」と返すのと対照的に、警戒心の強い舜斗は、ほとんど聞き取れない声で「わす」と会釈した。……コアはね、悪い人ではないんだよ……。
「バミチキ3つください。……あ、飲み物いる?」
「いる!」
「取っておいで」
「いいの?!先輩神〜!」
「いいから。ほら」
調子のいい壮大に目配せする。どうすればいいか迷っている様子の舜斗にも「いかないの?」と言えば、緩く笑ってから壮大の後を追っていった。
「可愛がってんね」とコアが言う。そうだなぁ。たった2人の後輩だし、控えめに言ってとても可愛い。弟を思い出すっていうのもあると思う。
お会計を済ませる前にバミチキを袋に準備してくれているコアに、ふと気になったことを口にした。
「今日凌輝は?」
「A高女子とデート!」
「………そう」
自分で聞いておいて短く返した私を、コアが見てニヤリと笑う。「気になる?」すごい野次馬顔だ。ええ私、気になりますって顔に書いてあるかな。“デート”って聞いた瞬間、すごい冷たい表情にはなっていたかもしれない。
「練習にも来ないで何やってんのかなと思って」
「棘あるぅ」
「そうかな。凌輝が泳いでるところ全然見ないから寂しいの」
「あらあら可愛い」
「あ、今の本人に言っていいよ」
「どんなあざとさよ」
「コアの魔力であざと女子にしてもろて」
ちょうど炭酸のペットボトルを持ってきた壮大が「あざと?」と首を傾げた。余計なこと聞かれた気分になって、誤魔化すように慌ててカバンから財布を取り出す。「いいんですか?」とまだ遠慮している舜斗からジュースを受け取って、レジカウンターに置いた。
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祐莉 - お久しぶりです! 更新いつまでも待ってます。 (2022年10月21日 20時) (レス) id: 141db64209 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - masayo_8さん» ゆっくり更新になりますが、是非お付き合いください😌💓水とお友達のびふぁ君たちを書きたかった…! (2022年10月8日 2時) (レス) id: 8cbda2bab5 (このIDを非表示/違反報告)
masayo_8(プロフ) - 新しい小説〜!これから、楽しみですぅ( ꈍᴗꈍ)水泳部。。。想像しただけで、よだれが。。。(笑) (2022年10月7日 8時) (レス) id: 9b3b932bb4 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 祐莉さん» お久しぶりです。またまた私でなんだか申し訳ない(笑)ゆっくり更新していきますので、気長にお付き合いいただければ嬉しいです(^^) (2022年10月3日 4時) (レス) id: e5900b4b59 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - BESTY さん» はじめましてこんにちは!色々とお読みいただいているようでありがとうございます(^^)ゆっくり更新にはなりますが、楽しんでいただければ嬉しいです。 (2022年10月3日 4時) (レス) @page12 id: e5900b4b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年9月30日 22時