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TY「今日生歌なんだよー!頑張るねー!」
WL「言わない方がサプライズになったんじゃないの?テヤン」
TY「あ・・・」
どっと笑いが起こった。
Aがステージに上がる。
一瞬で笑いが収まった。
「久しぶりアマリリス。ありがとう」
それだけ言うと位置に着く。
PDの号令が入り収録が始まった。
愛しい人に愛の言葉を告げる歌。
女性らしい柔らかいダンスとしっとりと歌い上げるNAKEDに観客たちはうっとりと見つめている。
K-pop特有の掛け声も曲に合わせて綺麗に入る。
踊りながらセンターを前方に歩いてステージの真ん中にAが立った時ジヒョンのパートだった箇所に差し掛かる。
マイクを口の所に持って行き息を吸い込む。
が、声はない。
音楽だけが流れる。
Aの動きも止まったまま。
すぐそばにいたリョウォンが促すようにAの背中を軽く叩く。
次の小節でまた息を吸い込み口を開けるA。
だが続くはずの歌詞は出てこない。
観客がざわつき始めた。
そしてついに音楽が止められる。
PD「スソン、どうした」
会場に響くPDの声。
「すみません。歌詞飛びました」
Aは頭を下げた。
PD「もう一度最初から」
「すみません。よろしくお願いします」
全員が最初の位置に戻る。
再び収録が始まった。
順調に観客と一体になりながら進む楽曲。
ところがまた、
Aは自分のパートで声も動きも止まってしまった。
口を開けているのに声を出せない自分に自分で驚いている。
また音楽が止まる。
PD「スソン」
PDの声が聞こえた瞬間、Aはステージから飛び降りて裏へ走って行ってしまった。
スタッフの間を縫って控室に向かう通路に駆け込む。
ヒールが邪魔して足をくじきかける。
態勢を崩して転びそうになったところを誰かに抱き留められた。
「すみませ」
SU「何やってんだ、ステージから逃げ出して」
すぐに体を起こして離れる。
が、顔を上げられないA。
SU「ステージに穴開けるなんてアイドル失格だぞ」
当然の言葉だったがひどく耳障りに感じるA。
「うるさい」
SU「またお前はそんな口をきいて」
「うるさい」
SU「・・・歌えないなら辞めちまえ」
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作者名:〜NAE〜 | 作成日時:2018年4月8日 17時