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大きなホールの前に佇みビルを見あげる少女がいる。
(一発勝負のオーディション。やってやろうじゃん)
決意を胸に、一歩踏み出す。
たくさんの人でごった返している会場。
年齢は様々。
ただほとんどが親子連れだったが、少女は一人だった。
▢「当日受付になります。こちらにお名前を」
(ん?ウェブ申し込みしたはずだけどな・・・まいっか)
多少の違和感を感じつつ、少女は言われたとおりに名前を記入して受付を済ませた。
楽屋に相当する場所もごった返していて、たくさんの参加者と付き添いが行きかっている。
少女は隙間を縫って歩き、座れる場所を探した。
控室の隅にその場所を見つけると静かに座り込んでその時を待った。
順番に組み分けされた参加者たちがステージに呼ばれる。
少女の組が呼ばれた。
少女は来た時と同じように静かにステージに向かう。
少女は組の中で最後の出番だった。
(あれ?なんでステージのパネル、EXOが掲げてあるの?SMエンタじゃん・・・東方神起に少女時代まである・・・え?)
少女は袖から見えるステージに掲げてあるグループのパネルを至極不思議がった。
が、結論に至る。
「やばい・・・間違えた」
ボソッと声に出ると、傍にいる参加者が訝し気な顔で見て来た。
(だから受付で当日だって言われたのか・・・地図見間違えたかなぁ・・・・逃げちゃおう)
ステージに背中を向けて歩き出そうとすると名前を呼ばれた。
(しまった、呼ばれた・・・正直に謝って帰るか・・)
少女は渋々ステージに上がった。
審査員1「どうしてこのオーディションに応募されたんですか?」
客席の最前列に陣取ってマイクを持った審査員の一人が言った。
「すいません、間違えました」
少女は頭を下げて謝った。
会場がざわつく。
審査員1「間違えた?」
「私、TWICEに入りたくて来たんですけどオーディション会場間違えました、すみません。帰ります。」
再び会場がざわついた。
他事務所のグループの名前を出したからだろうか。
審査員2「面白いな君、とりあえず見せてもらおうか」
違う審査員がマイクで言った。
「え、いや、私帰りたいんですけど」
物怖じしないのか、審査員や参加者、付き添いが多数席を埋めている観客席の視線を一身に浴びているのに悪びれない様子で答える少女。
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作者名:〜NAE〜 | 作成日時:2018年3月4日 18時