54 ページ4
「ごめん」
近衛くんの声が聞こえた。
俯く私の隣の席に、彼が座るのが分かった。
『近衛くんは気にしないで。』
「Aさん。。。」
『早く終わらせて、私達も帰ろう?』
キーボードに乗せた指が震える。
あれ。。。
不意に近衛くんの手によって、私の顔は彼の方へ向けられた。
「こんなんじゃ、仕事できないでしょ」
彼の瞳に吸い込まれそうになる。
「いつまで逃げるつもり?」
『えっと、何から?』
「Aさんは、馳さんのことが好きなんでしょう?」
『え?』
私が、天馬くんを好き?違う。
それは、幼馴染みへの感情のはず。
「見てたら分かります。今日は、Aさんが傷つくって、分かってたけど。いつまでも自分の気持ちに気づかないから。。。』
『私は天馬くんが好き。。。?』
そう口に出すと同時に涙が頬を伝うのがわかった。
『嫌だったの。天馬くんが江戸川さんに微笑みかけているのも、江戸川さんに、触れるのも。嫌だったの。』
これが、私の本音。
『これが、恋なの?』
近衛くんが私をそっと抱きしめてくれた。
「それが恋だよ。」
彼の体温が心地よくて、安心して泣いた。
きっと、明日にはまたもとの幼馴染みに戻るから。
初めての恋に気づいた時には、もうそれは終わっていた後だった。
それだけのこと。
終わったこと。
小説や漫画では、主人公の恋は報われる。
私は主人公になりそこなった脇役だ。
139人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
??(プロフ) - うわぁ、好きです…(т-т)♡続き待ってます! (1月5日 22時) (レス) @page24 id: bf81ac6cbd (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - 続きが気になります!更新しますか? (2021年3月24日 10時) (レス) id: 38bc2a156b (このIDを非表示/違反報告)
ゆうゆう - 続きが読みたいです! (2020年8月19日 20時) (レス) id: 73ef895257 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - あやみんさん» 更新止めててすみません^^; ありがとうございます! (2020年4月26日 14時) (レス) id: 5d891c1c69 (このIDを非表示/違反報告)
あやみん - 面白いです。頑張ってください! (2020年4月3日 11時) (レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あい | 作成日時:2018年12月16日 23時