花恋2

68 ページ18

晴side



どうしよう。


すっげぇ可愛いんだけど。


目の前の白峰は
制服とは違って、大人びてみえた。


水族館なんて来たことないし。

デートとか、したことないし。


ポケットの開運グッズを握りしめた。



初めて入った水族館は薄暗くて
本当に海の中に来たような
そんな感覚に陥った。



『綺麗だね』



そう言って大水槽の中をゆったり游ぐ魚たちを目で追う白峰が、綺麗で。


このままどこか遠くに行ってしまうような気がした。


近くにいるのに、

触れることができる距離なのに。


遠い。


触れたい。


抱きしめたい。


叶うならその先も。



なんて、思春期真っ盛りな思考に埋め尽くされそうになる。




『私ね、晴くんと友達になれて、本当に良かった』



そう言って笑うから、俺は友達になんかなりたくないんだと

改めて思った。


俺の気持ちなんて、とっくに伝えてる。

分かってるはずなのに
友達という言葉で距離を置こうとする白峰に腹が立つ。



柔らかそうな頬に触れると、ふっくらとした感触におかしくなりそうだ。




『晴くん？』



少し照れたように俯く白峰。



「俺は、お前が好きだ。それだけは、忘れんな」



そう言って手を離せば
真っ赤に顔を染めた白峰が目に映る。



少しは俺の事、意識してくれただろうか。




分かんねぇけど。


今はそれでいい。

69→←67

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す