花恋2

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「A。おはよう」



月曜日。


いつも通りの朝。


いつも通りの天馬くんのお迎え。





『おはよう』




いつも通りにギリギリまで寝ていて、
髪の毛もボサボサの私。





「まだゆっくり準備してもいいよ」




まるで、私たちの間には何もなかったかのように、
いつもと同じ様子の天馬くん。


心臓の当たりが少し痛い。


小さくなった心が




『いい加減、子供扱いするのは辞めて』




なんて、冷たい声を出した。



悲しそうな天馬くんの顔に、イライラする。






「何かあった？」





天馬くんの手が心配そうに私の頭にのせられた。



暖かいその手が、あの日江戸川さんに触れていたんだと思うと、



苦しい。





『学校。先に行ってて』

「分かった。じゃぁ、また後でね」





優しく微笑むと、
高橋に挨拶をして出ていく天馬くん。



姿が見えなくなると、ため息が零れた。





なんでこんなにもイライラしてしまうんだろう。





天馬くんに婚約者ができてから、
ずっと心が苦しい。




天馬くんにとっては喜ばしいことだし、婚約者の江戸川さんもすごくいいひとそうだったのに。






頭とは裏腹に、気持ちはドロドロと黒い感情が渦巻いているようだ。

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