花恋2

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晴side



「これ、あげる」



日曜の午後、珍しく愛莉が部屋に来て

2枚の紙切れを渡してきた。



「なんだこれ」

「はぁ？知らないの？」

「知らねぇから聞いてんだろ」




２枚の紙には水族館の名前。



「水族館に無料で入れるチケットよ」

「なんだそれ。いらねぇよ。魚なんて、見ててもつまんねぇだろ」




紙切れを机に放ると、
愛梨が分かりやすくため息をついた。




「あのね、女の子はこういうのが好きなの。」

「だからなんだよ。一茶とでも行ってこい」

「白峰さん」

「は？」

「愛梨は、あげる。って言ったの。白峰さんとでも行ってくればいいのにと思って。」




頭の中が晴れてきた。

なんだ。



愛梨、いいとこあるじゃん。





「ありがとな」





そう言って、いつもしてきたよう

に頭を撫でると、顔を赤らめた愛梨。





「どうした？」

「なんでもない。とにかく、デートコースは自分で考えて！」





その言葉だけ残して出ていった愛梨を疑問に思ったが、

水族館でデートだと思うとワクワクした気持ちになる。




どうやって誘おうか。



考えるとモヤモヤしてきた。






「小林。少しでてくる。」





小林に告げて外に出ると、夜風が冷たく頬をかすめた。






「さみぃ」

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