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次の日が金曜日だったのは、偶然か必然か、この際どっちでもいいのだけど、どうせ暇してるであろう高校時代からの友人に連絡を入れる。
『今日、行っていい?』
『いいよ』
たった3文字、素っ気ない返信だけど私からの連絡を待っていたのだろうと思ってしまうなんて、私は厭らしい女だ。
「ほんと、懲りないねぇおまえ」
私の好きなお酒と好きなツマミを、当たり前のように用意してくれているのはいつもの事で、何を言わなくたって何があったのかを分かっているのも今に始まった事ではない。
私は別に、彼女になりたいとか、好きになって欲しいとか、そんな風に思ってるわけじゃない。
そんなのはとっくに諦めたつもりだ。
だけど、それでも。
いつまでも変わらない距離感でい続ける彼を好きでいる事は、簡単に辞められるわけでもない。
「なーにが、最高だわ、だよ!こっちは最低だっつーの」
「いや、お前は最高だ」
「いやてか、背中を押しに行ったわけじゃないのよあたしは。何してんの?」
「知らねぇよ」
「翔太はさぁ、あたしの事が好きなの」
「だろうなー。だってあいつ、いつも俺じゃなくてA誘うんだもん。気が合うんでしょ」
「…好かれてんのが嬉しいのか、もうよく分かんなくなってきた」
いつから、だっけ。
そんなの、もう覚えてない。
高校生の頃、気付いたら一緒にいるようになっていた翔太は、気付いたら好きになっていた。
なんでふっかじゃなかったのかと言われたら、そんなのは私にだって分からない。
それでもあの頃は、いつ付き合うのかとよく揶揄われるくらいには周りの目にも仲良く見えていて。
そんな言葉に浮かれていつかそうなるものだと勝手に思っていたけれど、そのいつかなんてものはなく、気付けば卒業、気付けば恋人が出来ていた。
私だってそりゃあ、人並み程度には色恋沙汰も経験してきたつもりだ。
でもやっぱり、戻ってきてしまうのは結局翔太で。
そんな自分になんだかもう呆れてくる。
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バンビ(プロフ) - 蜜柑さん» 蜜柑様、コメントありがとうございます。このように感想をいただける事が私も幸せです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 (2022年8月18日 12時) (レス) id: c42b9ee31d (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結まで拝読させていただきました。私は渡辺くんを推しているので、主人公に感情移入しながら作品を読み進めていました。書かれている悪友が本当にそのままで良かったです。バンビさんの素敵な作品に巡り合えてとても幸せです。ありがとうございました。 (2022年8月18日 8時) (レス) @page28 id: 26da2e8d54 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ - かなさん» かな様、コメントありがとうございます。タイトルで気付いてくださるのが嬉しいです…。ご期待に添えるよう頑張ります…! (2022年8月14日 14時) (レス) id: 518496b2f9 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - タイトル見て絶対バンビさんやと思ったらバンビさんで一気読みしました!なべふかコンビはどちらもよくてどっちとくっつくのかわくわくが止まらないです!続き楽しみにしてます☺︎ (2022年8月14日 8時) (レス) @page16 id: bb257ea4af (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2022年8月7日 11時