【d!】社畜と異世界人 (ページ10)

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食事を済ませ、コネシマさんがお風呂に入っている間に私は食器を洗い始める。
警戒心が解けていないゾムさんとの2人きりは正直に言うと気まずく思うのだ。

zm「なあ、シッマの恩人」

声を掛けてきたのは意外にもゾムさんからだった。
「ゾムさん、どうしました？」と返すと「あー」「うー」と、しどろもどろ何かを言いたげな様子である。

zm「…メシ美味かったで、ありがとうな。あと、怪しい奴って疑って悪かった！すまん！」

頭を下げて謝ってくるゾムさんに驚きのあまり思わず目を見開いてしまう。
失礼かもしれないが警戒が解けたら、人はこんなに変わるのだろうか。
本来の性格がこっちなのだろうか。

「ゾムさんのお口に合ったみたいで良かったです。見ず知らずの人を警戒するのは当たり前ですし、私は気にしていませんよ」

「それにコネシマさんの仲間の方は良い人ばかりと聞いていたので」と付け加えると、ゾムさんは安堵したようで「ありがとうな」とお礼を述べる。

そしてゾムさんは今まで頑なに外さなかったパーカーのフードを外したのだ。
茶色の髪に、ペリドットの瞳。
コネシマさんと同様に顔が整っている。

zm「なあ、Aって呼んでもええ？」

「良いですよ、お好きに呼んでください」

zm「改めて俺はゾム、W国の幹部で暗殺部隊に所属してるで！よろしくな、A！」

彼が暗殺を得意とするなら私は本当に殺されてたのかと思わず身体が震える。
コネシマさん以上に警戒心が強い彼が私と話をして漸く初めて笑ったのであった。