espoir

悪い子だぁれ？ ページ14

森本 side


京｢あ！こら！｣


本日何度目かのきょものこら。


そのこらの先に居るのは、



A｢んっ、｣



A。




京｢だから、今日は大事な資料多いから入っちゃダメって言ったよね？｣



そう、今日はちょっと入院が多かったりいつもとは違うイレギュラーがあったりするからピリピリしている。
普段割かし出入り自由(Aは特に)なナースステーションも今日ばかりは入ってこられたら困る状況で。


そんな日に限ってAは元気だし。


いやいい事なのよ、元気なのは。


ただ、忙しさもあってなかなか構ってあげられないしみんな違う科に連絡しに行ったりしているせいで手薄で相手をしてやれない。


A｢じゅりせんせぇはぁ？｣



京｢ねぇ俺の話聞いてた？｣



A｢…はいっちゃだめ、｣



京｢そう、だから先ず出て？｣



A｢んぅ…きょもちゃん、じゅいせんせぇは？｣



京｢樹先生はお仕事、Aは今日お部屋で静かにするってお約束だよね？｣



A｢…｣




｢よし、A、慎ちゃんが一緒に行ってあげるよ〜｣


ちょっと助け舟を出せば、これでもかと抱きついてくる。



京｢も〜、ほんとごめん、よろしく｣


｢おっけ〜｣




、




｢ほら、パズルやってたんじゃん｣



A｢…みんなあそんでくれない｣



｢うん、今さ、Aは元気かもしれないけど、元気じゃない子もいるの。わかるよね？｣


A｢…ん｣


｢今日だけだから、な？｣



そう言うと不貞腐れたのか目に涙を貯めながらも
布団を頭までぐるっと被ったA。



｢ごめんごめん、また来るから｣



泣き止ませてから離れたいのは山々だけど俺もやること溜まってるしで、今思えば何でいてやらなかったんだよ、なんて思うけど。
俺はそっと病室を後にした。

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