月花石色-366日短編小説‐

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『昨日は申し訳ありませんでした！！』


彼女の突然の謝罪にみんなの視線が俺たちに向く。

俺は俺で、90度に頭を下げる彼女に焦ってて


「いやいや、気にしてないって」


顔を上げるように促してそれを聞かない彼女


『本当にすみません。失礼なことばかり言いました。』

「いや、言われたこと全部正しいし。怒ってへんよ？」


でも…と続ける彼女の耳は髪からちらって見えているだけでも赤くなっていることが分かって。

そんな彼女を可愛いと思ってしまってる自分は重症だ。

なおも謝り続ける彼女に…


「‥A。」


『 え？ 』

初めて俺から名前を呼ばれたことに驚いた彼女は、顔をあげて俺と目が合う。

ちょっと潤んでいる目に胸が苦しくなるのを抑えて。

「じゃぁまた、飯いってくれるんやったら許したる。それから、また俺が凹みそうになったら支えてな?」



俺の言葉を理解した彼女は、少し顔を赤らめてから


“はいッ！”

と昨日別れ際に見せた笑顔で答えた…。





2人の間に少し温かい空気がながれているなか…。





「「「「「「ちょっと待った！！」」」」」」



「なに？今の空気。2人昨日一緒にいたの？？」

『え？はい。昨日数原さんと一緒にご飯に…』


「はぁ？ごはん？」

「いつから2人仲良くなったの？」

亜嵐君の問いかけに素直に答えてしまう彼女…いやAは

案の定他のやつらからの質問攻めにあっていた。

ちょっと困った顔をするAの腕を引いて。

「A。」


『…はい？』


腕を引かれたことに不思議そうに聞き返すAに


「もう昨日飯食って家まで送った仲やし。これからは“龍友”って呼んでや」

俺のお願いに少し驚いた表情のAは、

『…はい、でも“龍友くん”でもいいですか？？』

至近距離で首を傾げながら言ってくる彼女が可愛すぎて堪りません…。

「おぅ。ええで。じゃぁ今日からよろしくな？」

『はいっ！龍友くん』

2人して笑っていると。

「ギャー！！ダメ！近い！！」

「龍友くん、Aから離れて！！」

「Aちゃんこっちおいでッ！！」

「龍友くんサイテー！！」


メンバーからのブーイングに楽屋は一層うるさくなった。


「サイテーって俺なんもしてないやん!!」


ズイズイッと近づいてきた隼が俺とAの距離をとる。


離れたAは、亜嵐君と玲於に挟まれていて。

俺とAとの間に隼となぜか黒い笑みを浮かべる涼太に壁を作られた…。




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