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「…ある海外アーティストからAを指名されたんだ。」
その後、社長から聞かされた名前は
最近、海外メディアで注目されている若手空間デザイナーだった。
私も、参考資料として彼女の作った作品を見たことがある。
独特な感性を持ちながら、強すぎない主張の中
それでも何を伝えたいかはっきりわかる彼女の作る空間はすごい。
そんな彼女から指名されたことに驚きを隠せなかった。
『なぜ私に?』
「前回、Aが携わったアーティストのMVが海外で人気でね。そこで彼女の目に君の作品が留まったんだ。」
まさか、自分の作ったものが彼女の目に留まったなんて
信じられなかったが、それ以上に嬉しかった。
『嬉しいです。そんなすごいアーティストに認めてもらって。今回の依頼はどういったものなんですか?』
私の問いに、社長が少し目を伏せた。
少しの沈黙、先ほどまでの温かい空間からすこし冷たい空気が漂う
「今回の指名というのは、仕事の依頼としてではないんだ。」
『…え?』
「君に、自分のアシスタントとしてついてもらいたいというオファーなんだ」
『…つまり、ここを辞めて海外にってことですか?』
「そう。君の実力を見込んでのことだ。」
社長の優しい眼差しを受けながら、私はただその場に立ち尽くすことしかできなかった。
そんな私を見かねた社長は
「君がいろんなアーティストから支持されているのは私でも知っている。その君が今回彼女と会うことでまた、一回りも二回りも成長すると私は思ってるんだよ」
『社長…。買いかぶりすぎですよ。私なんて…』
「それは、自信がないからかい?それとも、他に理由でもあるのかな?」
『ッ‥、』
社長の言葉に真っ先に浮かんだのは涼太のことだった。
こんな話、今逃したらもうないかもしれない。
もっと成長したい。もっといろんなことを吸収したい。
そう思えるのは、傍で夢に向かって頑張っている“彼”がいるからだった。
『そのお話の期間は?』
「返事は、今月末まで待ってくれるようだ。もし、行くのであればそれ以降の期間は私にもわからない。」
『いつ日本に戻ってこれるか分からないってことですね…。』
「そうだ、1週間かも知れないし1ヵ月、1年。君が向こうで得るものがあればその期間は長くなるだろう」
再び黙り込んでしまう私に社長は優しい笑みのまま
「決めるのは君だ。どの道を選んでも私は全力で応援するよ」
と背中を押してくれた。
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ESORA(プロフ) - マカロンさん» 返事が遅くなり申し訳ありません。すごく嬉しかったです!!一応来年の11月末まで続けるつもりだったので、もしよかったらこれかも見ていただけると嬉しいです。宜しくお願い致します。 (2018年12月16日 15時) (レス) id: 44dad9860d (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - ESORAさん» すみません…夏とか勝手な事を…f(^_^;人には人のペースがありますよね!あまりにも作品が良すぎて、調子に乗って言ってるだけなので負担にならないといいのですが…。 体に気をつけてマイペースに活動を楽しんで下さい♪ (2018年12月8日 2時) (携帯から) (レス) id: d90a572a32 (このIDを非表示/違反報告)
ESORA(プロフ) - マカロンさん» コメントありがとうございます。夏の花までいけるように毎日少しずつではありますが更新したいと思います。引き続きよろしくお願いいたします。 (2018年12月8日 2時) (レス) id: 44dad9860d (このIDを非表示/違反報告)
マカロン(プロフ) - こんばんは。素敵なお話ですね!私はお花も好きですし、ランペファンなのでより嬉しいです!夏の花言葉ストーリーも楽しみにしています^▽^無理をせずに頑張って下さい♪応援してます! (2018年12月7日 22時) (携帯から) (レス) id: d90a572a32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ESORA | 作成日時:2018年12月1日 22時