153) お父さんとお母さん<You side> ページ3
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A「ただいま…」
母「まあ、今日は早いのねぇ！」
チャンミンに家の前までタクシーで送ってもらい、家族が暮らす実家にたどり着いたのは夜の7時。
ここのところずっと帰りが遅くて、家には寝に帰るだけだった。
母「夕飯食べるでしょう？Aが帰って来たならお肉でも焼こうかなー？」
こういう時は母のおおらかな性格に救われるんだ。
遅くなっても文句も言わず、過剰な心配もせず、黙って見守っていてくれる。
母「もうすぐお父さんも帰ってくるわよ。武はデートらしいけど。」
A「あいつ、彼女がいるの？生意気！」
母「韓国の子らしいわよ。本当にうちは韓国ばっかり(笑)お母さんも韓国語勉強しようかしら？ユノさんとお話がしたいし。」
A「いいから！余計なこと言われたら困るもん。」
母「先にお風呂に入っておいで？ご飯の準備をしておくから。」
久しぶりにゆっくりと湯船に浸かり、ユノの事を考えていた。
元気かな？
声が聞きたい。
でも電話をしたら弱音を吐いてしまいそうで。
連絡は朝と夜のメールのやり取りだけ。
ユノはきっと私が忙しいのを知っていて、気を使ってくれている。
疲労と連日の睡眠不足で徐々に下がってきた瞼を無理矢理こじ開けてお風呂からあがると
父「A。おつかれさん。」
A「お父さん。お帰りなさい。」
お父さんが晩酌を始めるところだった。
父「お前も飲むか？」
A「うん。ちょっとだけ。明日も早いの。」
父「仕事、大変なのか？」
A「うん。なかなかね。上手くいかない事も多い…」
父「ま、仕事なんてそんなもんだ。お前の仕事の事はよくわからんが、父さんは大変な事があっても、母さんやお前たちが笑ってるのを見ただけで元気が出た。」
A「ねえ、お父さんとお母さんはさ。どこでデートしてたの？」
ちょっとした興味だった。
父「それは…」
母「お父さんはお母さんの行きたい所に連れて行ってくれたわよ？どこに行きたい？何がしたい？って聞くから。」
父「…」
母「今思えば、お父さんはデートコースなんて考えつかなかったのね(笑)」
お父さんはバツの悪そうな顔をして下を向いていた。
父「洒落たデートコースなんて俺にはわからないし。行きたい所に言って、やりたい事を一緒にやるのがいいと思ってな。」
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作者名：mari
| 作成日時：2018年4月19日 23時
