100万回生きた俺。【ヒロアカ】 (ページ8)

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最期の幕開けページ8

食堂へ向かった。

爆豪から恵んでもらった1000円で、豆腐丼を買った。

『ここ、いい？』

空いている席が少なくて、一番近い席に座った。

緑「あっ、Aくん！いいよ！一緒に食べよ！」

緑のモサモサした髪の奴が、優しかった。

気弱そうな雰囲気を放っている。

『ん、ありがと』

麗「ねぇねぇAくん！
聞いてもいーい？」

朗らかに笑う女子が、俺に言う。

『いいよ。』

飯田も緑谷も、親しみやすかった。

学生って、こんなもんなんだな…。思っていたほど、気むずかしくない。

麗「やった！Aくんって、…好きな人とか居る？…///」

居るわけないだろう。今さら、恋愛なんか眼中にないぞ。

俺は、人生に解放されたくて、ただただ浪費するのみだ。

緑「えっ……麗日さん…」

麗日の反応を見て、緑谷が分かりやすくテンションを下げる。

これは、…青春ってやつか？若いってのは、羨ましいなオイ。

俺なんか1000万歳以上だぞ。

飯「で、どうなんだ？逢坂くん」

飯田が食い気味だった。意外だ。

3人は、俺の返答を待って興味津々に聞いている。

『いない。し、たぶんこれから先もできないと思う。』

麗「えっ…なんでぇ？Aくん、美人やし…
あっ、もしかして失恋とか？…はっ、ゴメン！失礼やった…」

麗日は、忙しく顔色を変える。

俺は、女にもなったことあるし。今さら、女の体なんか見たって何も思わない。

第98万回目の人生では、美人なOLだったし。他にも数百回は女としての人生だった。

さすがに、それで興奮しろったって無理な話だ。

『あぁ、いや、違うよ。』

緑谷は安心したような、悲しいような表情をして言う。

緑「じゃあ、なんで？」

興味本位で聞いているのだろうが、緑谷は淋しそうに微笑む。

『うーん…なんていうか、そういうの面倒臭くてさ。
別に友達でいいじゃん、みたいな。
好き嫌いの関係を通り越した親しい友人って、一緒に居て楽しいだろ？
ソレだよ。』

人生ループしすぎて、そんな気起こらないなんて言えない。

ごく普通の高校生っぽく言ってみた…つもりだ。

飯「うむ、…それも一理ある。」

飯田は、感慨深く頷く。

麗「ほへぇ～…Aくん、深いこと言うねｗ」

緑「なんか達観してるねｗ」

俺は豆腐丼の美味しさに、頬を緩ませる。

ただの誤魔化しに感動されて、笑えてくる。

『ん～、これ旨いな』

爆豪の1000円で買った豆腐丼が、絶品だった。