100万回生きた俺。【ヒロアカ】 (ページ28)

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赤いメガネと恋人(？) ページ28

若いってのは、これだから心臓に悪いんだ。

なんだよ、“キスしづれぇ”って。

恥ずかしくないのか？こんな老いぼれに向かって。

爆豪は耳まで赤く染めて、前を向いて前進する。

早歩きになって行く爆豪。

俺の家に来るのにも迷ったのだろう。迷った末に、頑張って俺の手を引いているのだろう。

俺の右手を掴む爆豪の手からニトロの甘い香りがする。

緊張、しているのかな。

『爆豪、ありがとう。』

俺は爆豪の一世一代のデートを良いものにしてやろうと、考えた。

爆豪が与えてくれるように、俺も99万の人生の経験から出来る限り爆豪に何かを与えられたらいい。

この子供に、俺ができる精一杯の思い出と経験をプレゼントしてやりたい。

爺すぎる考えだろうか。まぁ、いいか。歳相応の爺らしい考えで。

爆「っ…別に……///」

俺は爆豪の隣に並んで、背伸びしながらススキみたいな髪を撫でた。

フサフサしてて、サラサラで、ニトロの香りがする髪。触ってると楽しい。

『爆豪、初デートみたいだな』

爆「っっ…マジ、なんつーこと言っとんだ///
クソチビのくせに///」

俺の手を握る爆豪の手が、更に熱くなった。

このまま爆発しそうなくらいに。困るな。俺も熱い。

爆豪はきっとモテるだろうな。

女性に対してもこれだけ優しくできれば、ホストなんかもイケるだろう。

ヒーローしてて副業にホスト、なんてどうだろう？

俺には向かない人生計画だが。

『えー、でもほんとだしなぁ』

他愛もない話をして、眼科で処方箋を貰って、近くのカフェでゆっくりして。

爆豪の笑顔が俺の脳裏に焼き付く。

この100万回目の人生が終わっても忘れないように。

明日からは爆豪と一緒に作ったコンタクトを付けよう。

かなり多くの人生を経験してきて、それでも初めて誰かと買い物した。

会社の付き合い、家族旅行、学校の修学旅行、…

全部何万回か経験しているし、友達や周囲、彼女彼氏と仲が悪かったわけじゃないけど、何故か一緒に買い物することだけはなかった。もちろん、1回目の人生もだ。

今日、この日、100万回目の人生で初めてデートというものを経験した。

『爆豪、お前が俺のハジメテだ！(デートしたのは)』

爆「ﾌﾞﾌｯ…あ”ぁっ！？///ああ当たり前だろーが！」boom

爆豪は珈琲でむせる。

『苦いなら砂糖入れたほうがいいぞ』

爆「はぁ～…お前、少し黙れ…///」

今時の若いコはさっぱり分からんなぁ。