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『(……黙ってるしか、ないよなぁ)』
どちらにせよ、少なくとも自分すら混乱している今はまだ、打ち明けるつもりは毛頭ない。
「しかし先程、何かを話しかけているように見えましたが」
『……』
――はい、前世の言葉です。
とはもちろん言えないので、上手い具合の言い訳をでっち上げなければ。
『《あんた、ほんとにリュウジ？》』
「グオン」
『それは、これのことでしょうか？』
「……あぁ」
『私にもどういったことなのか、正直なところ混乱が大きいのですが……どうやら、竜王にだけ通じる言語が話せるようです』
嘘は言っていない。
「竜王にだけ……」
「竜王は、我々の言語は理解していますか？」
『《あんた、あの二人が言ってること分かる？》』
「……グォ」
『……残念ですが、理解しておられないようです』
「……。そうですか」
竜王なんだからさぁ、人間の言葉分かる、みたいなチートないの？ 竜王なんだからさぁ。
とも考えてしまうものの、まぁ種族が違えば意思疎通の手段も違うのが当たり前だった。
『……あの、私から質問をしても？』
「え……？ あぁ、どうぞ」
『竜王は、いつ誕生されたのですか？』
「……我々が、最初に姿を確認したのは六年前です。そのときは他の竜と遜色なかったのですが、成長するたびに竜王の特徴が見られるようになって」
「推測では、生まれて十数年は経っているだろうとのことです」
『……十数年』
じゃあ多分、私がこの世界に生まれ落ちたのとほぼ同時期に、こいつも竜として転生したってこと？
竜王を見やる。眠たいのか、地に頭をつけて目を閉じるその様は、なんだか安心しているようにも見えた。
『(人間以外に、転生って)』
――一体、どんな感覚なんだろう。
人間としての記憶をもったまま、竜としての道を歩ませるだなんて、少しばかり意地悪じゃあないか、神様よ。
周りの竜たちは、ちゃんと家族だっただろうか。嫌な思いはしなかっただろうか。
この青白い空間で生きてきて、寂しくは、なかっただろうか。
『……《あんた、寂しかった？》』
竜王は僅かに目を開けて、フン、と鼻を鳴らしただけだった。
『……ふ、相変わらず、素直じゃないね』
やがて本当に眠ってしまったらしい竜王の傍に寄り添って、時間が経つのをただ静かに待った。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
