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『あ、あの、私も戻りま――』
「グオン！」
『《あんたホント黙れ！？》』
「……。どうやら、本当に会話が出来るようだね」
『(しまった！)』
頭を抱える私に、私の服の裾を咥えて行かせまいとする竜王。その様子を囲んでいる二十もの竜たち。
我ながら、なんてはちゃめちゃな状況にいるんだ。
項垂れている間に、一行は撤退する用意が整ったようだった。
仲の良いご令嬢が心配そうに見てくるが、よもやここで助けてくれそうな強い心臓をもつ娘はいない。
ついに殿下率いる一行は細い道へと消え、後にはトントンさんとオスマンさんのみが残った。
半端な距離でこちらを見てくる二人と、竜に囲まれた私。
『(……きまず)』
何を話せばいいのか、そもそも会話をするべきなのかも悩ましい。
しばし沈黙が流れたが、胸までの長髪を緩く纏めた彼――オスマンさんが口を開いた。
「……貴女は」
『は、はい』
「竜王と、会ったことがあるのですか？」
この人も、流暢な公用語を話す。
単純かつ、こちらを探るような色をした問いに、私は一瞬口をつぐんだ。
しかし、この場で無駄に嘘を吐くべきではないと判断し、慎重に答えを選んでいく。
『いいえ、今日初めてお目にかかりました』
「……では、どうして竜王の言葉が？」
『……。竜王の言葉が理解できる訳ではございません。ただ何となく、こう言っているのではないか、と感じるだけです』
「ほう」
その言葉に嘘はなかった。私は何も、竜王の発するグオン、とかグオォン、とかを解読しているのではなく、記憶と経験を頼りに、彼が言ったであろう、または伝えたいであろうことを推測しているだけなのだ。
実際、竜王以外の竜たちが吠えたところで、何を言いたいのかさっぱり分からない。
「何故それが可能なのか、心当たりは？」
そう聞いたのはトントンさんだった。
彼はオスマンさんに比べて、やや堅い、芯のある話し方をする。
核心に迫ろうとする質問に、私はヘラリと笑ってみせた。
『……さぁ。私自身、驚いているところでございます』
嘘を吐くことは罪でも、言わないことは罪ではないと、どこかで聞いたことがある。
私たちを取り巻く事実を明け透けに話したとして、彼らは信じてくれるだろうか。
それほどまでに、彼らは信用の置ける人間だろうか。
今世の私を産み落とした両親にさえ、前世のことは言っていないのに？
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
