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――……姉貴！！
耳に届くのは言葉になっていないただの啼き声であるはずなのに、私には彼が何を言っているのかが手にとるように分かる。分かってしまう。
彼は私を呼んでいる。間違いなく私に向かって、姉貴、とそう呼びかけている。
今世の私に、弟は存在しない。
生憎、家系の先祖に竜に関連する人間などもいやしない。
だけど"竜王"は、私を姉だという。私はそれを、理解してしまう。
――彼が事実、弟だから。……いや、弟"だった"からだ。
『(……そっか、あんたも一緒に、死んじゃったんだね)』
まさかこんな状況で思い出すとは、誰が予想するだろう。んでもってまさか、竜って。しかも王って。
観念して再び見上げると、そこには影が落ちてきていた。
きゃああ、悲鳴が上がる。目前に迫った竜王の顔に、誰もが恐れおののき、逃げ腰になった。
私はといえば、嫌な予感がした。おい、おいやめろ、悪ふざけは――
『――う、わぁ……！』
Aさん！ と誰かが叫んでくれた。しかし救いの手まではなかった。
ひらり、すぐそこに降り立った竜王は、私の首根っこを咥えこんだ。ぐえ、と喉が絞まるのに慌てている間もなく、視界がぐんと高くなる。
再び最奥のベストポジション(私にしたらバッドポジションだが)に戻った竜王は、私を優しく地面に置く――
『い、ったい……！』
――でもなく、ぽい、とややぞんざいに投げ出された。
おい、扱いに気を付けろ！ こちとら貴族のご令嬢だぞ。
『……《ちょっとあんた、体格差考えなさいよ！ 怪我したらどうすんの！》』
「……グフン」
『《してねえじゃん、って？ あのねぇ、こっちはか弱い》――』
「グォン」
『――《え……？ あ、やば》』
はっと我に返る、本日二度目。
しかし今回ばかりは、言い訳しようもないことは当然に理解できた。
ねぇ待って、今私、日本語で怒鳴り散らしてた……？
「――その者」
『……っ』
殿下の真っ直ぐな声が刺さる。
呆気にとられたように目を見開いた彼らの中で、殿下は――いや、この時ばかりは彼も、驚愕に捉われていた。
「竜王と、意思の疎通が出来るのか？」
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
