6#歓迎の席で ページ13
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夜になった。
再びあの大きな建物――グルッペンさんは講堂という言い方をしていた――に集まった私たち。
講堂の大広間には低めのテーブルが三列並べられていて、真ん中の列には、大皿に乗った何種ものご馳走が鎮座していた。
私はといえば、想像よりも色鮮やかで食欲をそそるそれに内心で喉を鳴らしていたのだが、周囲からは困惑の声が洩れる。
「……まさか、床に座って……？」
聞こえてきた台詞に、あぁ、と納得する。
横長に並んだテーブルは背が低くて――そう、ちょうど、地べたに座り込んで食卓に向かうような。
事実、テーブルの側にはこれまた多彩色なゴザのようなものが綺麗に並べられていた。
とそこで、奥の部屋から殿下が顔を出す。
広間の様子を一目見た彼は、並べられたご馳走に感心するように一つ頷いた後、入り口付近で固まったままの私たちを視界に入れた。
令嬢たちの動揺を感じ取ったか否か、殿下は一瞬、肩を竦めたように見えた。
「――いや、素敵なもてなしをありがとう。早速、席に着いても？」
「えぇ、是非とも」
相変わらずのバリトンボイスで頷いて、グルッペンさんは殿下に席を勧める。
グルッペンさんは殿下を誘導しつつ、その隣の席に自らが先に座り込んで、殿下を見上げた。
「王都の方にはご無礼になるやもとは考えましたが、これが我々の村での歓迎のやり方でして。気を悪くされるかもしれませんが、どうぞ、ご勘弁頂ければ」
『(……ほう)』
それを聞いて、私は息を吐いた。感嘆だったのか、驚愕だったのかはよく分からないが。
ゴザに腰を下ろして左の膝を立てたその姿勢は、いかにも、私たち"王都の方"にはお行儀悪く見えよう。
それを分かっていながら突き通したのは、はたして、自分の村の文化を純粋に知ってもらいたかったのか、あるいは一種の反抗心だったのか。
希望を言えば、前者であったほうが平和的だよなぁ。
しかし我らが第一王子殿下は、強引にも前者であるようにと、笑顔で頷いてみせた。
「あぁ、では失礼しよう」
グルッペンさんの隣に腰を下ろした彼は、真似をするように左の膝を立てては、どうだろう、と笑うなどしている。
その様子を、私たちは固唾を呑むような気持ちで見守っていた。
「さぁ、君たちも突っ立っていないで、早く席に着こう」
――それもそのはず。他でもない彼が従ったのなら、私たちに拒否権などないのだから。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
