仮面−４ ページ38
＜Yuzuru Side＞
「うわぁ、細い！」
横浜へ発つ前日、ハンガーに吊るした衣装を見て、Aが声を上げる。
「アイスショーのプログラム、マスカレイドなんだ……」
ストーンが散りばめられた黒と赤の衣装にそっと触れながら、Aが呟く。
あ、知ってるんだ。
この衣装がなんのプログラムで着ていたものなのか。
SEIMEIやバラ１ならともかく、ショーで滑ったプロまで知ってくれているとは想定外だった。
「あのプログラムの結弦くん、格好いいよね」
「ふふ、ありがと」
過去の動画観てくれたのかな。ちゃんと俺に関心持ってくれていたんだって、気分が上向きになる。
「結弦くんの衣装や髪型っていつも素敵だけど、自分で決めてるの？」
「うん。衣装はデザイナーさんにイメージ伝えて、打合せしながら決めるけど」
「ふうん」
俺が答えると、なぜかAは腑に落ちないって感じの表情をする。
「なんか変？」
「え、ううん。スケートの衣装はすごくこだわってセンスがいいのに、なぜそれ以外のときは違うんだろうって……ちょっと考えてた」
「……それ、俺をディスってる？」
「いや、それがきっと結弦くんらしいんだよね」
「………………」
正直、普段の服装や髪型には無頓着だと自覚してるけど……しみじみ肯定されると、ディスられるより、凹むわ。
「だったらさ、今度からAが俺の服選んでよ」
「え、私が？」
「うん、Aはセンスいいし、俺のもコーディネイトしてよ」
服装だけじゃなくて、小物とか、部屋のインテリアにしても、Aのセンスは自分にしっくりくると思ってた。シンプルで清潔感があって、派手じゃないけど、個性はちゃんとあるみたいな。
「本気？」
「わりと本気」
びっくりしてるAに俺が真面目に返すと、「わかった。今度、合う服探してみるね」と引き受けてくれた。
「よろしくー」
自然と鼻歌が出る。
母親と変わらない信頼度でAになら任せられる。
最近はアイスショーのために体力つけていたけど、それをAは察して、俺が何も言わずとも食事内容を変えてくれていた。彼女が持っているスポーツ栄養学の本にはびっしりと書き込みがしてあるのも知ってる。
家を出て母親のサポートを受けられなくなると不都合が生じるんじゃないかって危惧していたけど、杞憂だったな。
すでに、Aは自分になくてはならない存在になっている。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
