ep.12 ページ14
「おい」
「っ、はい！」
しばらくの沈黙を破ったのは兵長だった。
「頭を上げろ」
「・・・」
怯えながら、けれども悟られぬようゆっくりと頭を上げる。
上がりきる前に殴られたりするのかな…。
しかし兵長は私が頭を上げきるのをしっかり待っていた。
目を、兵長に合わせる。
「・・・」
「・・・」
またも沈黙が続く。
その間も兵長と目を合わせ続けた。
逸らしてはダメだと本能が告げる。
この沈黙を私が破るのもイケナイと。
私は兵長の動きを待った。
「…お、」
「あれ？リヴァイにエミリ、こんなところで何見つめ合ってるの？」
兵長が何が言おうとした時、タイミングよくハンジさんが通りかかった。
「ハンジさん！」
「…チッ」
「あれ、なんで今私舌打ちされたの？もしかしてお邪魔だった？」
「うるせぇ」
「え、そうなの？」
「いえ、そういうわけでは…」
説教とか調教とかをするつもりだったであろうリヴァイ兵長にとって、ハンジさんの乱入は邪魔者でしかなかったんだろうけど…
(私には神に見えます)
私は心の中でハンジさんを拝んだ。
「てめぇこそ、こんなところで何してやがる」
今度はリヴァイ兵長がハンジさんに質問をした。
ハンジさんは腰に手を当てて答えた。
「私はリヴァイを探してたんだよ」
「ああ？なんでだ」
「ちょっとした相談事をね。リヴァイこそ、何してたの？」
「わ、私が前を見ていなかったせいでリヴァイ兵長にぶつかってしまって」
ハンジさんが兵長に聞いたことに対し、咄嗟にエミリが答えた。
そして、
「余計なお時間を取らせてしまい、申し訳ありません」
兵長にもう一度向き直り、深々と頭を下げた。
すると兵長が予想だにしないことを言い出した。
「いや、俺のそもそもの目的はお前だ。エミリ」
「え？」
「昼から姿は見えねぇ部屋にもいねぇで、今まで何してやがった」
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作者名：勾 | 作成日時：2019年2月7日 17時
