【ベイブレードバースト】狂ってしまった時計【短編集】

番外編4:シリアスやりたい ページ30

目が覚めるといつも通りの天井。

そして、鏡の前に立つといつも通り寝癖の酷い自分が映った。

だけれど何故かいつも通りじゃないことが
一つあった。

多分皆んなこの状況になったら思うこと。



音が聞こえないこと。



聞こえる筈の雑音、会話声、風の音が全く
聞こえないんだ。

気持ち悪いし不愉快だ。

まだ夢の中なのか？いやそんな訳ない。

「取り敢えず…皆んなの元へ行こうかな。」

この自分で放った言葉さえ聞こえなかった。

ドアノブを捻る音、歩く音、何も聞こえない。

聞こえないという恐怖に包まれながら歩くと
気付いたら目的地に着いていた。

目の前に広がる当たり前の日常。

だけれどそれは日常に見えるだけ。

ふと目の前に居たバルトが話し掛けてきた。

バ「よぉA！さっきクミチョーがなぁ！」

え？ゴメン何て言ってるの？

何て話し掛けてるの？

バ「…？A？聞いてるか？」

何か言ってるのは分かる、だけど何て言ってる
のかが分からない。

でも表情がさっきの明るい顔から少し
変わった。

バ「おいA！聞いてんなら返事くらい
しろよ！」

何か言ったバルトは怒ったような顔で私の肩を
掴んできた。

でもゴメンね、何言ってるのか分かんないや。

もう何をすれば良いのか分からないので取り
敢えず作り笑いをした。

バ「…え、A…？」

嗚呼作り笑いって大変だな、バルトの瞳から
活気が抜けちゃった。

すると周りに居た人も集まって来た。

多分、バルトのこの表情…もしくは私の可笑し
な様子からだろう。

フ「…A、聞こえてる？」

フリーの口が動いた、私に何か言っている。

でも何を言っているのか分からない。

シャ「ねぇAの様子…変。」

ハ「ク、クリス呼んでくる。」

ハニーとシャーサが何か話してたと思ったら
ハニーが部屋を飛び出した。

そして直ぐに帰ってくると横にはクリス。

何だろ、皆んな暗い顔してる。

このいつも通りとは言えない暗い空気が嫌で
現状態を伝えることにした。

「ねぇ。」

聞こえない声を発するとここにいる全員が一斉
にこちらを向く。

ク「何？A？どうしたの？」

何言ってるか分かんないけど、取り敢えず
話すね。


「私さ、耳聞こえなくなったみたいw」


心配させたくないと思ってヘラヘラした私が
馬鹿だった。

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