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◆ ページ19
『…酔ってる？』
「お前よりは全然酔ってない」
『いや、どう…どういう、流れ？というかまじでどしたのひとらん、あんたそういうキャラじゃないじゃん、女の子を無闇矢鱈にお持ち帰りするキャラじゃないじゃん』
「確かに違うな。……お前だから言ってるって言ったら、どうする？」
『は、』
「2人とも奇跡的に明日が休みで、ほんとに久しぶりに一緒に飲んで、酒の勢いを少しばかり借りて勇気を出そうと帰り一緒になれる様に実は誘導したって言ったら、どうする？」
『ひとらん、？』
「なあ、A」
「朝まで一緒にいてよって言ったら、どうする？」
宵闇の様な黒に熱が宿り、じいっと射抜く様な視線から目が離せない。
らしくない、ぜんぶらしくない。
寒さでなのかそれとも別の理由でなのか、耳はほんのりと赤く色付いていて。
端正な唇から次々と飛び出す言葉はどれも堅物で時々荒っぽいいつもの彼からは想像出来ないくらい艶やかで繊細で。
なんだ、なんだろう、心臓がうるさい。
「俺はこのチャンスをみすみす逃すつもりは最初から毛頭なかったけど、最終的に決めるのはAだから。…ほら、なあ、どうする？」
ああ、酩酊した脳では上手く判断がつかないと断定出来たら、言えたならどれだけ良かっただろう。
酔いなんて、もうとっくにすっかり醒めてしまった。
(しかし選択を迫られて悩んでいたはずの私は、いつの間にかこくりと頷いていた)
(悔しい、こんなに狡い男だったなんて知らなかった)
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