【d!】明日の月も綺麗でしょうね？ (ページ13)

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◆ ページ13

軽い気持ちで脳内に浮かんだ欲望は自分でも驚くほど身体中を駆け巡り途端にばくばくと俺の胸を内側から心臓が強くノックする。
机の下で、恋人同士が、こんな公共の場で、誰にも気付かれずに、手を繋ぐ、だなんて。
なんだかとてもイケナイことを今からするみたいだ、酷く扇情的にさえ思えた。
ただ手を繋ごうとしているだけなのに。
彼女の前ではどうも自分が自分では無くなってしまう、いつもの自分が今の自分を見たら「いやキッショ。DT組よりDT拗らせとるやん」と唾を吐きかけていたに違いない。

ああ、でも、その指先に、触れたい。

『見すぎ』

ビクッ！と大きく体が跳ねた。
慌てて視線を上げるとばちりと彼女と目が合う。
くすくすと肩を震わせながら笑う彼女に頬がぽっ、と赤く色付いた様な気がする、いやまじでほんまに可愛いなだいすきなんやけど。

「っあ、ごめん…」

『ええよ、今に始まった事やないし……手、繋ぐ？』

「えっ」

『あれ、ちごた？マンちゃん、私と手繋ぎたいんかなって思ったんやけど』

悪戯に口角を上げながら、内緒話をするみたいに小声で囁く彼女に頭が可笑しくなりそうだった。
天使にも小悪魔にもなれるだなんてそんなのずるすぎる、これ以上俺の心を掴んで一体どうするつもりだ。
もうすきにしてくれ本望だから。

「……手、繋いでもええ？」

おずおずと尋ねると、彼女は酩酊しそうなくらい甘ったるく『いいよ』と呟き目を細めた。

(貴方の、恥ずかしそうに覗く宝石みたいな瞳が)
(花も恥じらう乙女の様に桜色に染まった頬が)
(私は堪らなく愛おしい)