ああ、うるわしのきみ!/sha ページ16
『バッッカかわいーやんしゃおろーん!!!!あっははは!!!!』
「お前絶対殺す必ず俺の手で殺す」
『やだあ、愛おも〜』
「張り倒すぞ」
毎年やってくる学生時代の二大イベントと言えば体育祭と文化祭である。
例に漏れずうちの学校でももうすぐ文化祭が開催されるわけなのだが、もちろんクラス毎に出し物も違う。
お店をやったり、展示物やステージをしたり。まあ大体はお店やね。
そしてうちのクラスは定番と言えば定番の【メイド喫茶】をすることになったのである、しかしただのメイド喫茶では面白くない。
ホールに出る女子メイド2人に加え、女装メイドを1人加えようということになったのだ。
そりゃあもう大ブーイングであったが知ったことではない、指名制で何人かを選抜する際真っ先にこの男を指名した。
もうお気付きだとは思うが女装メイドを提案したのは何を隠そうこのあたしである。
あたしの幼馴染であるシャオロンは、勉強はてんでダメだが昔から運動神経がよく今でも野球部のエースを張っている。
そして明るく人の心を掴むのが上手い彼は男女問わず学校の人気者なのだが、何を置いても国宝級のこの顔面!首から上だけを見れば女の子と見間違う様な可愛らしいかんばせがあたしは昔からだいすきなのである。
きゅるんとした蜂蜜を溶かした様な瞳も薄く形の良い唇も堪らない、前に一度本人に伝えたら「…きも」とだけ言われたので背中を有難くぶん殴らせて頂いた。
まあ散々と顔のことを言ったが、体の線も細い彼は絶対に女装が似合うと確信して提案し数週間、今日は本番前の衣装合わせ兼メイク合わせを行っている最中である(幼馴染権限でシャオロンの担当にして貰った、ありがとうあたしの幼馴染でいてくれて)
『ま、嫌がるの分かっとってちょっとからこうたけど』
「おい」
『でもやっぱりあたしの目に狂いはなかった〜!シャオちゃんバリかわえ〜!目覚めそ〜!』
「目覚めんな。いや寧ろ目覚めへんわ俺は男や」
メイク道具を近くの机に置き大人しく椅子に座って不機嫌そうに腕を組んでいるシャオロンの頭をぎゅむっと抱き締める。
さらさらの茶髪に指を通す様に撫でながらウィッグはいらへんなあなどと上機嫌な笑みが零れた。
『そんな不機嫌な顔せんとわろてやシャオちゃん〜あっ写真撮らせてな?ソロでも撮りたいしツーショも撮りたい〜!ねね、ええやろ?』
「……お前さあ、」
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