そばにいさせて～changmin～ (ページ10)

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恋におちたページ10

『失礼します。』

Aがチャンミンの前に座る。

『あの！』

『は、はい！』

『Aさんてよびます！いいですか！？』

『え？あ、はい。もちろんです！』

『あーよかったですー。』

チャンミンが目の前で、肩の力を抜いた。

『チャンミンさんは、律儀な方なんですね。』

呼んでいいかときちんと尋ねるところに、チャンミンの真面目さや律儀さが垣間見えて、自然と距離を縮めることのできるユノとはまた違ったかわいさを感じる。

『ちがいます。』

『え？』

『チャンミンさんじゃなく、チャンミンです！』

『え…ふふっ！』

違うのはそっちか、また言われちゃった、なんかかわいい、といろんな気持ちが混ざって、Aはつい笑ってしまった。

『…チャンミン…？』

『………はい。』

やばい。やばいやばいやばい！

首を傾げながら呼んでみるAを見て、自分で呼ばせたにも関わらずドキーッ！としたチャンミンは、なかなか返事ができなかった。

Aはチャンミンのかわいさに緊張がほぐれ、自然と会話が出てくる。

『2週間ぶりですね。日本でも韓国でも、忙しかったんじゃないですか？』

『はい、いそがしかったです。でも今日がたのしみだったので、がんばりました。』

『そんな風に言ってもらえるなんて嬉しいです。』

『Aさんもいそがしかったですよね？』

『そうですね。でも私も今日が楽しみでしたし、それにチャンミンの声に…』

そこまで話すと、Aはハッとした。

本人を目の前に、あなたの声に毎晩癒されてましたなんて恥ずかしくて言えない！

『ぼくの声がなんですか？』

『いえ、あの…』

『ぼくの声はダメですか？』

『ダメじゃないです！むしろ…とてもいいです…』

『ぼくは歌手ですから、とても嬉しいです。』

そっか。チャンミンの声を大好きな人なんてこの世に何億といるじゃない！

Aはチャンミンの一言に勇気をもらい、正直に伝えた。

『実は…私、チャンミンの声が大好きなの。撮影の準備が忙しくてあまり寝れなくても、チャンミンの声を聞きながらだとすごくよく眠れて…起きた時もなんか幸せで。忙しかったけど、チャンミンのおかげで頑張れたなって思うの。ありがとう。』

僕はこの人の声が好きだ。

そしてこの人も、僕の声を大好きだと言ってくれる。

ただそれだけで、チャンミンは心に温かな気持ちが広がるのを感じた。

目の前で優しく笑っているAを見て、あーぼくはいま完全に恋におちたと思った。