そばにいさせて～changmin～ (ページ17)

今日:24 hit、昨日:1 hit、合計:279,135 hit

相手役ページ17

チャンミンの提案を受けて、現場はすぐに、おもしろい！やってみよう！と動き出す。

監督もチャンミンと、熱心に話し合っている。

意図を説明された西野も、よりリアリティが出るかもなと言って乗り気だ。

それならモデルの手配を…と電話しようとするAを西野が止める。

『いや、相手はAだろ？』

『えっ！？』

『Aさんって、チャンミン言ってたじゃん。』

『いや、でもあれはきっとそういうことで言ったんじゃな…』

『とにかく！今からモデル手配したって撮影が押すだけだぞ？顔が映るわけじゃないし、ただチャンミンの手をとればいいだけだ。』

焦るAに、なっ？と西野が笑いかける。

初対面のモデルなんかより、Aのほうが絶対にチャンミンのいい表情を引き出せる。

西野も、そして横で会話を聞いていた三橋も、そう確信していた。

『それは…そうだけど…』

『最高の作品にするんだろ？』

そう言われて、Aは顔を上げた。

スタジオを見渡すと、スタッフたちが一生懸命走り回ってくれている。

そして、チャンミンの真剣な表情も見える。

それぞれがみんな、自分ができる最大限のことをしようと努力してくれている。

そうだ。

このたくさんの仲間たちのためにも、チャンミンのためにも、私ができることはすべてやらないと。

『うん。最高の作品にする。』

Aは吹っ切れたように明るく笑う。

『よし！さすがA！』

ハンドクリームでも塗っとけ！とからかいながら、西野は三橋と一緒にチャンミンのもとへ向かった。

急な変更にもこうして対応してくれる仲間たちは、本当に頼りになる。

Aは、撮影のスケジュール変更が他部署や関係者に迷惑が掛からないよう慎重にチェックする。

そうしていると、ユイが声をかけてきた。

『じゃぁAさん！急いでメイクしに行きましょ♪』

『ユイちゃん？メイクなんていらないよ。顔は映らないんだし。』

『でも雰囲気って大切じゃないですか♪それにあたし、ずっとAさんにメイクしてみたかったんです！行きましょ行きましょー♪』

『えっ、ちょっと…』

引っ張られながら西野を見ても、おー行ってこい！こっちは任せろ！と助けてくれる気配はない。

三橋に至っては、笑いながら手を振っている。

Aはもう諦めて、ユイの後を付いて行くしかなかった。