そばにいさせて～changmin～ (ページ1)

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特別なフロアページ1

『このフロアってあんまり来ないから緊張するね。』

『そうだな。相変わらずすげー静か。笑』

最上階のこのフロアは、社員でも全員が入れるわけではない。

限られた人だけがパスを持ち、出入りを許されている。

地下駐車場からは直通のエレベーターもあり、誰にも気付かれず来ることもできる。

各企業の社長や役員、政治家、文化人など、数々の大物が来る場所だけに、セキュリティや配慮は万全だ。

Aと西野が来るのはこれが3回目だが、今回の案件としては初めてだ。

自社で新しく売り出す女性向け化粧品のモデルに芸能人を起用したのだが、今日初めて、その本人たちを交えて打ち合わせをすることになっている。

2人で持ち寄った企画を吟味し、今回3つまで絞り込んだ。

その中から今日、商品だけでなくモデルのイメージとも照らし合わせ、最終決定する予定だ。

芸能人でも、かなりのレベルでないとこのフロアには呼ばれない。

しかも今回、普通は先に知るべきその人たちの名前すらも教えてもらえず、情報は男性2人組ということと、女性からの人気は相当だということのみだ。

その情報管理から会社の力の入れようは痛いほどわかるが、それだけで企画をいくつも考えなければいけないこちらの身にもなってほしい。

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約束の13時を過ぎたが、まだ彼らは現れない。

今日、特別に朝から彼らに同行しているチーフマネージャーの話だと、前の撮影は順調に終わったものの、少し渋滞に巻き込まれているらしい。

朝から2本の撮影をし、これから打ち合わせをし、そしてその後はまた別の撮影とインタビューがあると聞いている。

今日1日のスケジュールを聞いただけでも、彼らがどれほど忙しいのかが分かる。

西野との雑談の後、念のため…と再び最終確認をしていると、さっきまで静かだった廊下から、少し話し声が聞こえはじめた。

楽しそうな笑い声がだんだんと近づいてきて、Aと西野は席を立った。