備忘録 (ページ39)

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MNA 自閉症　18-1 一話のみページ39

和「やっほー」

雅「お、いらっしゃい！」

この街でパン屋を営んで5年
近所に住む和と潤はうちの大事な常連さん

和「ほら、潤くん」

潤「…」

手を繋ぐ潤は和に促されて一歩前に

雅「ん？どうした？」

和「ほら、これ」

白い箱を渡された潤は受け取った後も俯いてなにも喋らない

和「あんなに練習したのに…笑ここ、ドキドキしてる？」

潤「……どきどき」

和「大丈夫。できるよ。」

潤「…どきどき…」

白い箱と和を何度を見比べて
潤なりに覚悟を決めてる

潤「……お、たんじょ…び…おめでと…う」

雅「……！ありがとう！！」

和「いや嘘でしょ？」

雅「マジで気付かなかった！」

潤「…おめ、でと…う」

雅「潤、ありがとう。」

白い箱を受け取り両手をギュッと包んでやれば嬉しそうに口角を上げた

いつもは大人しくて和の隣から離れない潤が珍しく小さくジャンプして俺たちに笑顔を見せてくれた

和「良かったね？喜んでもらえたよ？」

落ち着かせようと和が両手を握るけど
嬉しさを表現するようにブンブン腕を振る

上手く言葉で伝えられない潤なりの表現

和「ふふ、緊張してたからね…ほっとしてるのかも」

雅「可愛いなぁ…」

手を繋いだまましばらく和の周りをグルグルしてると落ち着いたのかまた和の隣にひっついた

和「それ、大野さんのとこのケーキ。営業終わったら食べて？」

雅「うわ美味そう！ありがとう！…あ、そうだ。潤？好きなパン1個選んでいいよ？」

潤「…ぱん」

雅「うん。潤が食べたいパンはどれかな？」

潤「ぐるぐる…」

和「あー…コロネかな？」

雅「これ？じゃあこれ1個袋に入れるね。…はい。これ潤にあげる！」

和「え、いいの？」

雅「ケーキくれたお礼。潤も今日は頑張ったもんね。潤。はい、どうぞ」

潤「…あり…がと」

和「誕生日なのにごめんねありがとう…また来ます」

雅「うん、またお願いします。潤、またね」

潤「…またね」

後々和からメールが来て潤が選んでくれたと教えてもらったケーキは今まで一番美味しいケーキだった。