備忘録 (ページ36)

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SM 胸痛　16-1 一話のみページ36

翔くんの会社がテレワークになって数日後、
俺の会社も在宅勤務に変わった

お互いの部屋にこもってパソコンとにらめっこ

2人の時間が増えると思ったけど
仕事の場所が家に変わっただけだから
常に隣にいられるわけじゃない

「はぁ…」

昼飯を食べて部屋に戻ってから
胸の痛みがどんどん増してきている気がする

今日はもう薬を飲んでしまった

「いてぇ…」

誤魔化すように胸の辺りをギュッと握って
またパソコン画面を見つめた

「腹減った…」

もうそろそろ潤の夕飯を作る音が聞こえてきてもおかしくない時間

仕事が忙しいのか、音が聞こえてこない

「じゅんー」

様子を伺いに部屋を覗く
そういえば昼飯の時間以来顔を合わせていない

「じゅんー？」
「ぁ、翔くん…」
「…痛むか？」
「うん…」

椅子に深く腰掛けて胸をさする潤

「薬は？」
「もう飲んだ」
「かなり痛いか？」
「ん…ぎゅ、て」
「そうか…」

胸痛は病気の症状の一つだから病院に行く必要は多分ないけど…

ギュッと目を瞑って痛みに耐える彼を見ていると今すぐ救急車でも何でも呼びたくなる

「とりあえず横になろ」
「ん、」

ベッドまで運ぼうとすると、ラグの上で座り込もうとするから慌てて止める

「待って、ベッドまで頑張ろう？」
「こ、こ…」
「ここがいいの？」
「ん…」

お望み通りラグの上に寝かせる

「しょおくん、ここ…っ」
「痛むだろ？分かったからあんまり動くなって」

再び起き上がって俺の手を引いて無理矢理座らせようとするので言われた通りに潤の後ろに座る

「こうか？」
「ん…」

後ろ抱きにしてやれば満足なのか嬉しそうな顔を見せてくれる

「撫でてあげるから。呼吸に専念してください？」
「はぁ、い」

クルクルと優しく撫で続けると
胸が大きく上下しているのが分かる

「っ…」
「大丈夫。ちゃんと良くなるよ」
「…ぁ、ごはん…」
「気にすんな。適当になんか食うよ」
「ごめんね…」
「いーの、目瞑って？」
「ん…」