備忘録 (ページ15)

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「外に出て働くことはもう出来ないし、お金はかかるし、体調崩したら気も遣わせちゃったり…」

好きという感情だけでなんとかなるとは思えないほどの課題が山ほどある。

あれもこれもと言い出せばきりがない

病気になる前、そろそろ同棲しようと話し合って、物件探しまでしていた。

同棲してから、入院になったら…
命を落とすようなことになったら…

嫌いになったから振ったわけではない。

迷惑かけたくない。その一心だった。

「潤…？」

「…っ」

気づいたら人目もはばからず泣いていた

翔くんは優しく手を包んでくれる

「これ、見てくれる？」

カバンから出してきた紙には、

病院近くの物件のチラシ

そしてこれからの生活リズムが丁寧に手書きでまとめられたもの。

金銭面の事まで事細かに記されていた。

「相葉ちゃんから聞いた情報だけで書いたからさ。潤のやりやすいように変えていこう」

「…役立たずだよ？」

「そんなことない。隣で笑ってくれればそれでいい」

すっかり冷めたコーヒーを一口飲み、息を整える

「…よろしくお願いします」

「…こちらこそ！」

病院を出た後、２人は静かにキスを交わした