物語が始まる前に【ハリー・ポッター】 (ページ4)

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現状西洋ガールページ4

着いたのは何やら重々しい雰囲気を感じる部屋の前。ドラコ君は「校長室だ」と言い残し、何処かへ行ってしまった。いきなり校長に会ってしまいますか。ドラコ君も一緒だったら良かったのだが、昨日入学したばかりで校長と突然話すのには無理があると行っていた。まあそうなるだろう。まだ十一歳だし。

「おや、君は＿＿？組分けの時には見かけなかったが」

　ハッとし前を向くと、そこにはサンタクロースをイメージさせる、長い髭と髪の背の高い老人が立っていた。恐らく校長だろう。言葉を絞り出そうとするが、途切れ途切れにしか出てこない。自分が嫌になり溜め息を吐く。その様子を見かねた校長らしき人は入りなさいと促した。中は何とも形容し難い、且つ暖かみのある部屋だった。

「君はどうしてここにいるのじゃ？」

「と、そ、れは＿＿」

　何とか言葉を連ね、校長に説明する。気付けばここにいた、家が何処か分からない、ドラコ君に指摘された"日本人"の容姿ではないという件。実際にどうなのかは分からないが、このままもやもやしているのは嫌だ。校長は指で机をコツコツと叩いた。

「帰るところが無いのなら＿＿ホグワーツで暮らせば良い。君は魔力を示していないが故、授業に参加することは出来ないが、教授らの助手をしてくれるのならば、一日三回の食事、入浴、睡眠が取れる部屋を提供しよう。もし君に魔力があると証明された時は、他の子と同じように授業を受けさせることも出来ようぞ」

「ほ、本当ですか！」

「本来このホグワーツに魔法使いでは無い者は近寄る事さえ出来ないのじゃ。だが君は＿＿入れた。それは魔法使いの血が流れていることと同じようなものである」

　ありがとうございますと何度も頭を下げる。校長は思い出したかのように手を叩いた。そして杖らしきものを取りだしさくらに何かをよこした。銀に煌めく＿＿鏡だ。そこに映るのは。

「名前は何と言う？」

「鳴海さくらです」

「その容姿と反して日本の姓では混乱さてしまうだろう。そうじゃな＿＿プレンダーガスト、プレンダーガストと名乗れば良い」

「あ、りがとうございます」

　掠れる声を発し、校長室から出る。鎧の影からドラコ君が出てきた。心配そうな顔だ。

「どうだった？」

「びっくり」

　ドラコ君の後を追う。銀に煌めく長い絹のような髪が背中を叩いた。そして服から覗く陶器のように白い肌。見る角度によって違う輝きを放つ宝石のような瞳が、全てを彩っていた。

「現状西洋ガールってところかな」

　静かにさくらは笑った。