第4話 動揺 ページ6
ヒュッ、と息を飲んだ。
後半の言葉が耳に入らない。
(日本で・・・?
コーチをしているだって?)
『ど・・・して。
コーチだなんて・・・。』
ざあっ、と音を立てるように血の気が引いて行く。
嫌な答えにたどり着いた。
『A?
聞こえてるのかい?』
『僕が!!!
僕が、グランプリファイナルで優勝したから!?
ヴィーチャが5連覇するのを邪魔したから、選手を辞めるの!?』
携帯がギシギシと悲鳴をあげる。
『わざわざ行ったこともない日本に行くくらい、僕のことを避けたいの!?
こんなことになるなら、僕があの時辞めていればーーー』
『A!!』
力強い声を聞いて、思考が止まった。
荒い息を吐いて、次の言葉を待つ。
『ごめん、言葉が足りなかったね。
まさかAがここまで思い詰めてるとは思ってなかったよ。』
相手からは見えないのに、思わず首を横にふる。
『いいんだ。
僕のこと、嫌いになったんだろ?』
『違うよ。
嫌いになる訳ないだろう。
今回のグランプリファイナルは、俺よりAの方が観客を驚かせたから優勝した。
それだけだよ。
俺は、これを機に学び直そうと思ってね。』
『だから、選手ではなくコーチになったのか?』
『うん、そうだよ。
だから、お願いだから、あの時辞めていれば良かったなんて言わないでおくれ。』
『分かった。』
入れていた力を抜き、ベットに腰かける。
(ああ、すごいな。
ヴィーチャは、負けてもなお前を見すえている。)
携帯を持っていない方の手で、目元を覆った。
(あの時から先に進めていないのは、僕だけだ。)
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るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています! 感想、とても嬉しかったです! (2017年1月12日 12時) (レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!! (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るろまる | 作成日時:2016年12月11日 22時