冴えない女は蜜の味 4《JM》

190　遊ばれてあげる ページ40

.



A「目立つのは、よくないんだよ…」
JM「だから、それはなんで？何がよくないの？」
A「………」
JM「知りたいって思っちゃ駄目なの？」


ジミンを信じたい私と
信じきれない私が交差する。




ジミンにとって、私って一体なんなんだろう…




A「知りたい事って、私がどうしてこの格好でここに居るか…だよね」
JM「それだけじゃない。僕を拒み続ける理由を全部、知りたい。」


拒み続ける理由…


JM「教えてくれない？」
A「どうして、知りたいの？」
JM「Aの事だから。」
A「なんで…？」





好きだから？

言ってよ。



ちゃんと信じられるように言葉にしてよ。
カタチの無い、この関係のままじゃ無くて。





JM「…もうやめにする？こんな関係。」




ジミンは冷たい瞳を向ける。





その言葉の意味は、…どっち？





この関係より、先へ進むって事？
それとも、無かった事にしてしまうの？




多分、その意味は後者で、繋いだ手を離そうとする。
それがイヤで繋いだ手を離されないように、握る。






A「…………お昼は、チゲが…いい」


辞めるなんて、言わないでよ。




JM「ズルいよね。Aって。ほんと…」



そう言ってため息をついた。






A「誘ったのは、そっちでしょ？」

JM「チゲ？そんな気分じゃないから、カフェテラスにしよ。よく晴れてる。」
A「は？いや、何が食べたいのか聞いてき…」
JM「僕は朝からホットドッグが食べたいの。チゲの気分じゃない。」
A「なっ、本気で言ってる？私はチゲがいい！」


JM「やだ。カフェテラス。」



ジミンは自分勝手で、全然優しくない。


優しくない上に、傲慢で自信過剰でひねくれてて、女たらしで…。悪い所をあげるとキリがなくて、どうしようもない。



だけど、そんなジミンの手をいつまでも握って離さない私は、もっと、どうしようもない。





そのまま地下駐車場に降りる。


全部知りたいって言ったジミンの心を
私だって、知りたい。







JM「ねー、助手席に乗りたいの？それとも後部座席？」



私を助手席に、乗せたいんでしょ？



A「助手席がいい」


ジミンは助手席のドアを開けて、微笑む。




ドアを閉めると運転席に回って、乗り込む。
車内に流れる知らない曲を口ずさむ、ジミンの独特の甘い声に揺られて。


ちゃんと言葉にしてくれるまで

もう少し、もて遊ばれてあげるよ。



.

191　ｿｳﾙの真ん中(JM)→←189　ジミンのペース

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す