168 足りない物(JK) ページ18
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ヌナとの平凡な、大切な暮らしが戻って数週間たった俺の毎日は、どんな景色を見ても、色鮮やかに見えていた。
いつも通り、お迎えに行くこのルーティンが幸せで、夕暮れになる度に噛み締める。
ヌナの会社に向かう時に運転席から見る並木道が凄く凄く好き。
雨でもこんなに綺麗だから。
でもこれは、目に映る並木道じゃなくて、ヌナに向かって走る自分が好きなのかも。
早く着きすぎるから、コンビニにでも寄ろうかな…。
ルームミラーを確認して、ハンドルをきる。
車を停めたら、弾ませた足どりで、店内のカゴを持ち、迷わず入れていく。
ヌナが好きなジュース。ヌナが好きなおつまみ。
ヌナが好きなスイーツ。ヌナが好きなお酒。
たまに好むお酒に、初めて挑戦する新商品。
知り尽くしてる。誰よりも。
ヌナが喜ぶものはいつも全部わかってる。
お会計を済ませて、車に乗りこむ。高級車の内装はヌナと俺に似合う、お洒落な雰囲気、
この助手席は、ヌナだけの、特等席。
お腹すいたなぁ…。
今日のご飯は何だろう?
テジクッパのリクエストが通ってると嬉しいんだけど。
BGMに合わせて今日も、歌を口ずさむ。
明るいラブソングはヌナがお気に入りの曲だ。
ヌナとの毎日が運ぶ、この上ない充実感が俺を満たす。
ヌナの会社に入る為、対向車を待っていたら、対向車はタクシーだった。
こっちに道を譲ってくれる。
後部座席に見覚えのある顔が見えたけど、特に気にしない。
会社に着くとヌナの姿はまだ無くて、傘を持ち、車を降りて屋根のある玄関に立つ。
人の出入りが多くて落ち着かない。
女の人も凄く多くて、皆がこっちを見てヒソヒソ話してる気がするから居心地も悪い。
車の中で待とうかな…
ヌナの会社に背を向けて、辺りを見回す。この雨でも関係なくこの会社は動き続ける。
一体どのくらいの人間が、出入りしているんだろう。
韓国でもよりすぐりな企業の花壇は、とても立派だ。
一握りの人にしか就く事の出来ない、誰もが認めるソウル本社。
やっとの思いで大学を出た独りぼっちのヌナに与えられた、確かな安定。
俺の会社は、まだ若くて小さいけど、伸び続けていて、申し分ない。
俺が与えた、両手に余るほどの幸福。
俺の心を通り過ぎる、幸福。
ヌナは今、何か足りないもの、ある?
欲しいものは全部俺が、ヌナに与えてあげるよ。
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王様じゃんぷ(プロフ) - ぐうさん» 仕事の合間に聞いて泣いてみます💮5章も今から話が動くんで楽しんで下さいませ🌟また話しかけて下さい! (2022年11月2日 7時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
ぐう - このお話すごい大好きです(՞ . .՞)♡このお話がすごい"paid paipar"の曲の歌詞がジミンとヒロインにマッチしていて泣けてきました笑 (2022年11月1日 22時) (レス) @page46 id: afc8ed882c (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - nnonnoさん» 嬉しくてスクショしました😭笑。モチベが落ちてたので本当に嬉しい🌈また来て下さい😭 (2022年10月27日 22時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
nnonno(プロフ) - まるで映画を観てるような気持ちで読んでいます。作者様の表現力、言葉のチョイスすべて最高です。伏線の張り方も回収もプロですね!本当に読み応えのある作品でグクと主人公の奥深すぎる愛にも号泣しています。みんな幸せになって欲しい!更新楽しみにしています (2022年10月27日 9時) (レス) @page50 id: 498383e375 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 7neanooonさん» お疲れ様です😌💓5章で待ってまする🌈 (2022年10月17日 7時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:王様じゃんぷ | 作成日時:2022年9月1日 16時