秋と停滞 ページ10
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中学校生活最大イベントの体育祭も、修学旅行も終えて季節は秋になった。
校庭に1本だけ生えるもみじが赤く染まったのに、それを眺める暇もないほどみんなが机に向かう時期になってしまった。
普段は呑気なAも、家に余裕がないから私立は受けるだけだと、ここら辺で有名な公立進学校をめざす。
そんなAは、今日は息抜きデーだとコンビニによってジャンプを買った。
二人でるろうに剣心を読みながら、昔サッカーをして転げ回った公園のブランコに腰を落とす。
「もうすぐ卒業やなあ」
「ほんまやなあ、4人ともバラバラや〜」
「寂しいなあ」
「でもまたすぐ会えるやろ!笑」
「絶対遊ぼうな!!」
「うん!」
俺は立ち上がってAの後に立ってブランコを押した。
Aは大きく揺れて足を伸ばす。
「うわ!めっちゃ夕焼け綺麗に見える!」
「え!俺も見たい!」
降りたAは、次は俺の背中を強く押した。
地平線に溶ける丸いオレンジはゆらゆらと揺れた。
Aはまたブランコに乗ると大きく立ち漕ぎを始める。
高く登って、降りて、登って、降りて、日が暮れるまで延々と中身のない会話をした。
いつもの夕方だった。
「ただいま」
「おかえり、ちょっと大事な話あんねんけど。」
俺はどこかで今から話されることを感じ取っていたのかもしれない。
ただ冷静に淡々と事実だけが染み込んだ。
それとは裏腹にすこし、つま先が冷たくなった。
「あのな、引っ越して、春から東大阪住むことなってん。お父さん今の店閉めて東大阪に新しく店出すことにしたから今店片付けてるわ。」
「俺も行くんやんな?」
「うん。だから、高校も向こうの高校を受験してほしい。それに向こう行った方が仕事もしやすいやろ?」
「分かった。」
「友達によろしくな?、特にあの3人。」
「うん。」
「心配せんでも、絶対またあの三人には会えるから」
「知ってる笑」
九年一緒にいた。
長いようで短いようで長かった。
そんな俺よりも寂しそうに目に涙を溜めるお母さんに笑ってしまう。
きっとまた会える。
確証はないけどそう感じた。
明日にはみんなに話さないと。
やっぱりいくら冷静でも、だいぶ気が重かった。
日常が日常じゃなくなるのを感じる。
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時