大倉くんと親友【緑】

10年越しの親友 ページ50

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次はセリフのあるシーン。


Aの兄役である俺とAと、母親役の女優の方が関わるシーンでAに目配せする。



Aは渡された台本のそのワンシーンを集中して読んでいる。


そう言えば暗記力凄かったなって思い出す頃にはAは台本を閉じていて、その速さに周りは驚きながらリハをした。




そして気づいたのはAの演技のうまさ。


何かやってたのか聞けば、大学にいた時に演劇サークルに入っていたらしい。



それだけとは思えない演技の自然さに魅せられながら、先程のグダグダが嘘のように撮影が早く進む。




俺との共演シーンが終わって、他の女優さんや俳優さんと撮影したりする風景を後ろから眺めた。



ずっとずっと心の中にいて、いつも俺を助けてくれた親友の初出演のドラマで初共演できるなんて、とても偶然とは思えない。



目に見えない何かで繋がっているとしか思えない光景に少しの感動を覚えていると、右ポケットが振動する。




携帯の画面に表示されたのは｢道永ふわり｣の文字。



大阪時代からずっと俺たち関ジャニ∞の出る音楽番組でお世話になっていたスタッフで、一年ほど前に告白されてお付き合いを始めた子だ。



言って悪いが俺は最初はそんなに好意を抱いていなくて、メンバーが引っ付けようとするから引っ付いたような気持ちだった。



付き合いだしてから見せてくれるようになった甘えたな一面やワガママの所に最初はドキドキしたけど最近ではそれがエスカレートして、


｢いまどこ｣

｢すぐに電話して｣

｢浮気してるでしょ｣

｢他の女と喋らないで｣

｢早く帰ってきて｣



なんて聞き分けのないお願いばっかり。


いい加減にウンザリしてきていた俺は、最近はのらりくらりとそれらを交わしていた。



未だに震え続ける携帯を無視してポケットに突っ込むと、一旦休憩に入ったAがこちらに歩いてくる。




｢お芝居ってやっぱり楽しいなあ！｣


｢元気そうでよかったわ、笑｣


｢おくらこそやで笑、今日このお仕事終わったら暇？｣


｢まあ暇やけど、｣


｢それやったらお酒飲みに行こうや！！！｣


｢え、ほんまに！？やった〜！！たのしみ！！｣






いい加減にうるさい携帯の電源を切ってマネージャーに渡す。



10年越しの親友はそんなこと知らずに楽しそうに笑った。






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移行先出来ました！！

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