ビールと手羽先 ページ47
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上から覆いかぶさる長くて白い手の感触に、ゆっくり瞼を開けた。
あーが隣ですやすや寝ていて、私はグッと背伸びをする。
欠伸をしながらダンボールを開け始める。
入っていたのは仕事道具だった白衣と、資料と、チョークケース、そして眼鏡。
いつもこれをトレーに入れて持ち歩いていたのが懐かしい。
しみじみしながらそれらをお守り替わりにテレビの横に置いた。
ゲームとテレビと家具しかなかった部屋がどんどん私の物で満たされてゆく。
本棚はわたしの漫画でいっぱいになって、CDラックもパンパン。
レコードも積み重なって部屋が少しずつ私の色に染まった気がした。
荷物は、多いと言っても所詮一人暮らしなので、太陽が真上に昇る頃には全て片付いた。
空腹感に気づき立ち上がると、寝室からやっとあーが出てくる。
「おはよ」
「おはよ!ご飯どうする?」
「なんかあるん?」
「卵とアイスと酒しかない」
「やっば笑、」
「買い物行く?」
「行こ!」
寝起きのあーは歯を磨いて顔を洗うとジャージのままスッピンにサングラスで玄関を出た。
私のセダンに乗り込んで、ノリノリの音楽を流しながら駐車場を出る。
テンションの上がった2人は全然関係ないものや必要無いものまで買い込んだ。
適当に昼ごはんを作って、夜から仕事のあーを夕方の内にマンションまで送り届ける。
もう一度帰宅すると、とうふに餌をやって遊んで過ごした。
気づけば6時になっていてゆっくりと時間が過ぎるのを感じる。
心にできた余裕はじんわりと広がって心地いい。
このまま寝てしまうのは勿体ないと、財布を持って羽織を一枚着る。
仕事柄付けれなかった、2人の親友に貰ったピアスを穴に通すと、私は夜の東京に繰り出した。
「お、良さげ」
入ったのは手羽先がメインの飲み屋で、一人で暖簾をくぐってカウンターに座った。
雰囲気のいい店には手羽先のタレの甘辛い匂いが立ち込めていて、おしぼりを貰うと同時にとりあえず、生ビールと手羽先をひと皿。
しばらくしてビールと一緒に運ばれてきた手羽先に生唾を飲み込む。
食べるのが好きで、料理も好きで、呑むのも好き。
パキ、と音を立てて関節を外して、熱々の手羽先を頬張った。
甘辛いタレを味わいながら冷えたビールをキューっとを流し込む。
「ん〜〜」
「ねえあなた!!」
「ん、はい?」
「芸能界とか興味無い!?!?」
「は?」
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時