振り向いて ページ43
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「以上を持ちまして、第五十二回卒業式を閉式致します。一同起立、礼。」
深々と礼をすると、一組から順に担任について生徒が退場し始めた。
私の持つクラスは最後の退場で、後ろを振り返ると涙を流す生徒もチラホラ。
なんだか不思議な気持ちになって、もう一度前を向いた。
「E組、退場。」
その声に私は前に立って後ろを振り返った。
「先生!!」
「今まで私達を!!」
「親身に支えてくれて!!!」
「「「ありがとうございました!!!!!」」」
今までの予行でもなかったサプライズが披露される。
中には嗚咽しながらも感謝の気持ちを伝えてくれる生徒もいて、少し涙が出そうになったけど、私は担任として、笑顔で送り出さなければならない。
もう一度生徒達の前に立つと、笑顔で保護者席の間を通って退場口へ歩く。
体育館は暖かい拍手に包まれたまま遠のいた。
教室に入ると、本日二回目のサプライズのアルバムと寄せ書きを貰って集合写真を撮った。
「先生のおかげで数学苦手やったけどちょっと好きになったわ!」
「先生ありがとう!同窓会絶対来てな!!」
一人、また一人と教室から出ていく生徒を見送る。
全くものが無くなって物悲しくなった教室を見ると寂しさが大きくなった。
するりとなぞった黒板は私のテリトリーだった場所で、チョークの粉一粒さえない。
教え子がかけてくれた言葉の数々で私の努力も報われた気がした。
もうこの学校に未練はない。
荷物をまとめて前を向くとそこに残っていたのは一人。
「逢沢?どうしたん、帰らんの?」
「先生、」
「ん?」
「俺先生のこと好きや」
驚いて顔を上げるとだんだんと逢沢は近づいてくる。
普段から結婚してくれとか付き合ってくれとか言っていたけど、まさか本気とは思わなくて声が出ない。
「、何言うてんの」
「やから好きやねんって」
「勘違いやって。先生のこと頼ってたからそれを恋愛感情とごちゃ混ぜにしてるわ」
「ちゃうねん、ほんまに好きやねん、」
「、」
「二年の終わりから。ずっと好きやった。」
「先生は逢沢のことそんな目で見たことない。」
「そんなん関係ない、俺が絶対振り向かせたる」
「それやったらもっと他の女の子のこと見てからにしてくれる?そしたら勘違いって気づくやろ」
「絶対勘違いなんかじゃないから思い知らせたるわ」
「待つつもりなんかないで。」
「うん。でももし迎えに来た時、先生に誰もおらんかったら、その時は振り向いてな、」
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時