精神安定剤 ページ40
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あーと一緒に買いに行った黒いギターを弾く。
浮かぶのはお父さんの曲と関ジャニ∞の曲。
おくらの一番のファンでいると約束したからには、私は新曲を聞くことを怠らなかった。
新しいアルバムやシングルがリリースされる度に世間を騒がせる彼らの音楽は、贔屓目無しに聞いても素敵だ。
ゆっくりのテンポで歌詞を口ずさみながら静かな夜を迎える。
明日で大阪での教師生活も最後だ。
私は明後日にこの街を出る。
カタンと郵便受けの音がした。
玄関に歩いて真っ白な封筒を拾う。
お腹がいっぱいになったのか、ソファに座った私の膝に乗ってウトウトし始めたとうふを撫でると封筒を開けた。
「今日はコンビニ寄らないんですね」
車を運転する私の写真は間違いなく今日のもので、それと同封されたメッセージに溜息を着く。
私が今の仕事をやめて大阪を出ることにした理由は、それが全てだった。
一年前から終わらない執拗なストーキングと盗撮。
初めは怖くて眠れない時もあったが、一年も経ってこれ以上の実害も無いのでとうとう慣れが来てしまった。
と言ってもそれから与えられるストレスは半端ではない。
膝元で眠りについた愛猫をそっと下ろし冷蔵庫に向かう。
普段あまり自分から食べない甘いものを体が欲する。
冷凍庫から大きなバニラアイスを取り出してスプーンで一口頬張った。
できた窪みに大切にとってある少し良いウイスキーを注ぐ。
ボトルを机に置いて、アイスを抱えたままソファにもう一度深く腰掛けた。
ウイスキーのかかったバニラアイスを頬張ると香るアルコールの匂いに神経を麻痺させながらテレビをつける。
何も考えずに、次から次へとチャンネルを回した。
「さあ始まりました!関ジャニ∞のジャニ勉!」
少し酔いも回り始めて、アイスも半分を切った時にテレビに映ったのは関ジャニ∞。
後ろの端に座るおくらは最近よくドラマに出るようになっていて、教え子の中でも評判だった。
「本日のゲストはこちらの方ですどうぞ!!」
黄色い歓声と共に真ん中に座ったのは親友のあーで、おくらとあーの思わぬ対面に笑ってしまう。
私にジャニーズを目指していた親友がいると知っていても、それが大倉忠義と思わないあーは7人と談笑しながらモデルを目指したきっかけを話していた。
肌寒さに気づいて私は毛布を取り出す。
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時