変わらないもの ページ34
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開いた距離を縮めようと、孤独をかき消そうと足を踏み出そうとした時。
「席どうぞ!」
聞こえたのは変わらない凛とした声。
Aはおばあさんにお礼のチョコレートを貰って、あどけない笑顔を見せる。
安堵と自虐の笑みが零れた。
参考書から顔を上げて席を譲るAの笑顔だって、優しさだって本当は、本質は、何もあの頃と変わっていなかった。
お礼を言おうと髪を耳にかけた時に見えた耳元に、嬉しさで天を仰ぐ。
そこに光るのは俺とAの友情の証。
俺の耳元にも光る、よく似たそれを朝と同様にスルリと撫でた。
おばあさんに貰ったチョコレートを美味しそうに食べる顔だって変わらない。
それは今も昔も、そしてきっと未来だって。
それなら今会うのも、この先大人になってから会うのも変わらない。
どうせ再会するならもっとかっこよくなった俺として、Aの自慢の親友として、一人前の芸能人として会いたい。
出しかけた情けない一歩を引っ込めて、車両から出て反対側のホームに向かった。
急行に乗って急いでテレビ局へ帰って楽屋に走る。
出番まであと30分の所で楽屋のドアを開けた。
「っ、ただいま、」
「おかえり!もう帰ってこんかと思った!」
ヤスが心配そうに俺の傍に寄ってくる。
帰ってきたでって笑うと、安心したように本番もうすぐやから着替えやって衣装を渡された。
着替えていると、ヤスが出ていったのと入れ替わりですばるくんが入ってきて、俺の顔を見るなりなんかええことあったんかって肩を組まれた。
「親友に会ってきた笑」
「朝よりだいぶええ顔しとるやんけ」
「そんなあかん顔しとった?笑」
「冬眠中のクマかと思ったわ」
「それってどんな顔よ笑笑」
笑いながら着替えを済ませる。
するとドアが大きく音を立てて次に入ってきたのは安と丸とジャニーさん。
「あ、おはようございます。」
「youさ、ドラムできる?」
「は?」
「ドラム1人辞めちゃったからyouに入ってほしいんだよね、できる?」
頭によぎったのは、ガムシャラにドラムを叩くAの姿。
「いや、やった事ないですけど、頑張ります。」
「1ヶ月後ね?もし出来なかったらもう1人東京からドラム呼ぶから。じゃ、頑張って。」
渡された楽譜に目を移した時にはジャニーさんはもういなかった。
俺は次にAと会う時のために今日、林檎の樹を植えなければならない。
湧き上がるモチベーションと一緒に楽譜を握りしめた。
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時