大倉くんと親友【緑】

センター試験 ページ32

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あれから1年が過ぎて、また受験の季節が来た。



学校は、もうほとんど授業もないので遅く起きて、自習しに学校へ向かう支度をした。


家計のために国公立受験を目指している私は、英単語の参考書を開きながら電車に乗り込む。



右耳のトラガスに光るのは、先日あーと一緒に選びに行った小さな星の形のピアス。


相変わらずおくらに貰ったリングピアスも付けているけど、どちらも髪にかかって目立たなくなっていた。


中学三年生の時に切った以来伸ばし続けていた髪は今では腰あたりになっている。


座席に座って一息つくと、もう一度単語を1から見返した。


電車は動き出して、次の駅で止まる。


沢山乗ってきた人に、肩幅を狭めながら集中しようとすると、前に居た小さなおばあさんに目がいった。





｢あの、席どうぞ！｣

｢え、いいの？ありがとう、｣




おばあさんは、嬉しそうに微笑むと、ゆっくり席に座る。


ありがとうありがとうとお礼を言いながらカバンの中からチョコレートを取り出して、1つ私にくれた。


｢これ、お礼に、｣

｢え、いいんですか？ありがとうございます笑｣



頭を下げようとすると、おばあさんに掛かりそうになる髪が邪魔で耳にかける。


貰ったチョコレートを口に入れると、甘く蕩けて無くなった。



また一つ駅に着くと、たくさんの人が降りて席が空く。


おばあさんの隣に座って閉まる扉を見つめた。



なんだか懐かしい香りがしたような気がした。









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