春過ぎて ページ26
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春過ぎて夏来にけらし白妙の
国語でできるのは、文法と古典と漢文。
できると言っても暗記の部分だけで、読解は現代文と同様のクラス最低点。
テストの赤点を何とか覆そうと手を上げる。
「はい、佐藤さん」
「持統天皇です。」
「正解!」
和歌通り、春は過ぎて夏が来たみたい。
この学校は3年間クラス替えなしなので、私の対角線上にはダルそうに背伸びをするあーが座っている。
春が終わった頃には駅のロータリーの工事も終わって、金髪さんはコンビニにめっきり現れなくなってしまった。
あのヤンキーっぽい見た目にギャップのある言動がバイト中のオアシスだったので少し寂しいけれど、ただのお客と店員だったので仕方の無い事だった。
今日はまとまったお金を持って、放課後に二人でお買い物。
あーと一緒に電車に揺られて難波に着く。
私が入ったのは楽器屋で、今日は、生まれて初めて自分で稼いだお金でギターを買いに来た。
ぐるぐると店内を見ながら、アコギを一つずつ手に取る。
「あ、」
「ん?」
「これや」
「決めたん?」
「うん。これにする。」
直感が示したのは店の隅に置かれた黒い一本。
縁とフレットのみが金色に彩られたそれは、この楽器屋の中で一番映えて見えた。
「いいやん」
「せやろ?この子にする。」
店員さんにこれって言うと、私達が学生だからか、財布の中身を探るように薄笑いでお会計する。
その態度にイラつきながら現金を出すと、あからさまに態度を変えながらお釣りを渡された。
「なにあれ」
「さあ笑」
私より怒っているあーに笑いながら店を出る。
背中に加わった重みは、財布から抜けて言った紙切れなんて忘れさせる嬉しさ。
ふわふわする足取りであーと一緒に服を見たり、古着を見たりする。
空も暗くなって、そろそろお開きかなって駅に向かい始めた時。
「すいません、」
「はい?」
「芸能界とか興味無いですか?」
「え?」
「私、こういうものなんですけど、」
あーに渡された名刺を覗き込むと、有名なモデル事務所の名前で、顔を見合わせた。
「私、モデルなりたいんです。将来。」
「えっ!ではまたご連絡下さい!」
「もちろん、お願いします。」
お姉さんと握手を交わしたあーはキラキラした目で私を見つめる。
「今のって、」
「「スカウト!!!!!!」」
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時